ひらりと紺色のスカートをひるがえして、白いソックスが楽しそうなステップを踏んだ。
「どう?見て見て。どうかな?」
 が店の客にプレゼントされたとかいう洋服を着て、万事屋にやってきたのだった。
 あんまり嬉しそうにしているので、新八は自分まで照れくさくなって笑ってしまった。これだけ喜んでもらえればプレゼントした方も嬉しいだろうな。
「お似合いですよーさん」
 朝早くから神楽と一緒に買い物へ行って、下着に靴下、靴まで揃えてきたらしい。白い襟と袖口以外は紺一色のワンピース。それに白いハイソックスと、今は玄関に脱いである黒い甲ストラップのエナメル靴を合わせて履くと、言うならばこの上なく「地味可愛い」。
 けれど向かいのソファに半分寝そべっている銀時は、目をすがめて不審そうにの全身をじろじろ眺めた。
「客からプレゼント?なにそいつ?服のプレゼントって重たくね?気持ち悪くね?よくそんなモン平気で着れるねお前」
「プレゼントじゃないよ。警察の人が川に落ちた時のおわびにくれたの」
「えぇぇぇぇ?なんだァそりゃ」
「ヘン?」
 は不安そうに銀時を見た。
 銀時は月火水とさんざん読んで読み飽きたジャンプをまた読み始めた。客のプレゼントなんかで有頂天になっているが気にいらない。
「どこに着てく気?」
「まあそうなんだけど…」
 実際ここまで歩いてきただけでも目立って目立って仕方がなかった。確かに普段着にするには勇気がいりそう。は少ししおれて肩を落とした。反応悪いな。着てこなきゃよかった…。
「店で着ればいいヨ」
 神楽が横から口を出した。買い物につきあったお礼によそいきの日傘と、もちろん酢昆布もたくさん買ってもらって機嫌がいい。
「白いエプロンつけたらメイド服アル。ミニにすればオタクどもにも、もーっとウケるネ!」
 酢昆布をくちゃくちゃくわえたまま、神楽はほーら、とワンピースのすそをまくってみせた。
「きゃああああっ!」
 が驚くほど取り乱してスカートを押さえた。

「やだっ、やだもう!なにすんの神楽ちゃん!」
「えっ?なに?私今何かしたアルか?」
 まくり上げたといっても、ひざ上ほんの10センチほどのところまで。にどうして怒られているのか神楽はさっぱりわからなかった。

 男ふたりはと神楽の会話を無言で聞いている。神楽がきょとんとするのも当然。今どき街では若い娘がもっと短い丈の振袖を着て平気で歩いている。新八でさえのひざを見た程度では赤面もしない。
 それなのにさっきののあの顔ときたら。
 一瞬見えた白い足より、必死で恥らったの顔の方がモンダイだと新八は思った。目を見開いて驚いて、恥ずかしそうに頬を真っ赤にした顔が、時間が経つほど鮮明になって瞼の裏から離れない。うわあ…。じわじわ萌えてきたんですけど。
「…膝上10センチであんな顔するなんて反則ですよ…」
「…アイツ長着しか着ることねえからな」
 膝より上なんて裸見られるのと同じくらい恥ずかしい場所なんじゃねえの。銀時はジャンプから目も離さずに言った。けれど新八は、興味なさそうにしているその顔がひくりと引きつっているのを見逃さなかった。
 そう思ってよーく観察してみると、膝と肩とか震えてんすけど、銀さん?
 そろそろポーカーフェイスも限界ですか。
 新八がじっと見つめていると、銀時は黙って懐から財布を出して、中から千円札を2枚そっと寄越した。
「あー、あれだ新八。小遣いやるから神楽連れて実家帰れ。今日帰ってこなくていーから」
「………………ケダモノ」


「神楽ちゃーん、銀さんがお小遣いくれたよーおやつ買いにこー」
 棒読み口調で新八が神楽を誘った。
「マジでか!キャッホォ!行ってくるネ!帰ったらメイド衣装の打ち合わせアルよ!」
 明日まで家に入れてもらえないとも知らずに無邪気にはしゃぐ神楽だった。
「うん?いってらっしゃい…?」
 は新八と神楽の表情を見比べて、不思議そうに二人を見送った。






 新八と神楽が出ていったのをしっかりと確認して、銀時はの前に立った。懐に手を入れての全身を品定めするような視線。
 はおそるおそるもう一度聞いてみた。
「やっぱりこの服ヘン?」
 会話がかみ合っていないことにはまだ気づいていない。銀時は服が悪いとは一言も言っていない。
「…ま、いいんじゃね?」
 銀時がこらえきれずに頬を弛ませた。
「いやいや、そういうカッコしてるとお前もちょっとはお嬢さんに見えるわ」
 笑って頭をなでてやる。が褒められて犬のように嬉しそうな顔になった。

「それよりさっきのもう一回」
「さっきの?」
「神楽が」
 銀時がのスカートをつまんで引っ張った。
「え?これ?」
 は両手でスカートのすそをひょいっとつまんで気軽に持ち上げた。神楽にまくりあげられたより、さらに10センチほど上まで。あらわれた白い太ももがまぶしかったけれど、銀時はとても納得がいかずに大声を出した。
「おいおいおいおいおい何?なんで?!そーじゃねーだろ!さっきはめちゃくちゃ恥ずかしがってたじゃねーかァ!ああいうカンジでやって欲しいんですけど!」
「そんなこと言われても…」
 はやはり平気な顔で、惜しげもなく太ももをさらしている。
「銀ちゃんに足くらい見られたって恥ずかしくもなんともないからねえ?」
 ちっ。中まで全部見てたってそれとこれとは別だろーがぁ!銀時はいまいましげに舌打ちしての前にしゃがみこんだ。
「じゃいーや、もう少し上まで見せやがれコノヤロー」
「何言ってんのバカ、もういいよ」
 あんまり間近に見られるとさすがにもちょっと恥ずかしい。銀時が吐く息がふわりと足に当たってぞくっとしたのは絶対秘密だ。でも銀時はわかっているのかいないのか、顔を一層近づけて離してくれない。
「ほらほら、銀さんがおとなしいうちに言うこときいといた方がいいんじゃねぇのぉ?」
 そう言われるとなんだか怖い。は逆らわずに渋々すそを持ち上げた。
「はい、ここまで」
 パンツが見えそうで見えないところでぴたりと上手に手を止めた。
「何その見事な寸止めっぷり!プロかお前!そこまで見せたんならもうひと声!」
「ダメ、これ以上したら見えちゃう」
 下から銀時が見上げて凄んだ。
「見せろっつってんだよ」
「イ、ヤ」
「あっそう」
 銀時がのスカートの中に頭をつっこんだ。

「きゃああっ!?」
 とっさにがすそを持つ手を離して、銀時の頭を両手で押さえつける。銀時の頭に紺色の布地がぱさり、とかぶさり、完全に中に潜る姿勢になった。
「こらこらスカートちゃんと持っとけ、暗くてなんも見えねえ」
「見なくていいよぉっ!」
 銀時の頭を押しのけようとじたばたする。けれど銀時はしっかりとの太ももをつかんで、離れるどころかの股間に顔をうずめた。すうっ、とにもわかるように、大きく深く息を吸った。
「っ!さっ!サイッテー!匂いかぐなっ!!信じられない!」
「甘い匂いする」
「ばかあっ!」
 悲鳴をあげて腰を引く。もちろん逃がしてはもらえない。
「やっ、いやっ、やっ、もうっ!」
 はそれでも、かろうじて進める方へとずりずりあとずさっていった。ところがほんの数歩で壁にぶつかり、はかられたことに気がついた。もう逃げ場がない。
「スカートーあーげーろーやわわわわ…」
 銀時が太もものやわらかい肉に口をくっつけて言った。声の震動がぷるぷると奥まで伝わって、の腰に電気が走った。
「はうっ、わ、わかった、わかったからぁ!それやめてっ」


 がむすっとふくれっつらで、スカートのすそを持ちあげた。太もものつけねあたりでもう一度止めようとして、銀時に薄目で睨まれてあわてて腰の上までたくしあげた。
 明るい日の下にあらわれた、薄いオレンジ色のショーツとそこからのびる白い足。ソックスは流行りのひざ上丈ではないけれど、生の肌がその分たくさん露出していて銀時は満足だ。よしっ。
「へっへー、がパンツはいてら」
「…洋服だもん、はかなきゃ」
 しげしげ見られて頬が染まる。は照れ隠しに不機嫌な顔で横を向いた。
 銀時の指が、しげみのせいで少しふっくらしている布地を押した。が厳しく叱りつける。残念ながらぴくりと震えてしまったのをごまかそうというのがみえみえ。
「み、見るだけでしょっ!」
「んーなこと言ってません〜」
 指の位置をすこしずつずらして奥の方、閉じあわされた足の間へ割り込ませていく。の内側に限りなく近い場所。ほとんど生の体温を感じる。銀時は指を裏返し、一番熱い奥まったところを下から軽くひっかいてやった。
「いっ…」
 指を前後にゆっくり動かし中心をやわらかく擦る。下着がしっとりと湿ってきた。銀時が見上げると、横を向いたが困ったように俯いている。指の動きについ気をとられ、スカートを持つ手が下がってきては、あわてて元に戻す。その繰り返し。
 しっかり閉じていた足が次第にゆるくひろがってきた。銀時の指が中で動きやすいように。指の動きにあわせて微妙に体の向きを変える。無意識に気持ちよくなるところを銀時に差し出している。言うとまた怒るだろうな、と銀時はこっそり笑った。
 浅く、すこし深く、何度も布越しに指を動かす。下着の上から中の蜜を布地でかきとるようにすると、秘所を直接覆う布地がべったりと濡れてきた。
「やだぁ…。汚さないでよう。買ったばっかりなのに…」
「お前が汚してんだよ」
 銀時がくいっ、と奥まで指をつっこんだ。
「あふっ」
「お前これからは毎日パンツはいた方がいいんじゃね?」
 銀時の指がのかたちを確かめるようになぞっていく。ちいさく盛り上がっている二枚のひだと、中心にあるぽちりとふくらんだ小さな芯。次第に硬く勃ちあがる芯を少し強めにつまんでやった。くにくにと続けると腰からひざまでがふるりと震えて、は漏れそうな声をかみ殺した。
「んふっ、んっ」
「こんなにとろとろこぼしてんじゃ、いつものじゃ下まで垂れてきちまうだろ?」
「垂れ、ないもん…いつもこんなじゃ…ひうっ」
 つまむ指に力を入れるとすぐにしゃべれなくなった。こぽり、とあふれ出たたっぷりの愛液を下着がうけとめてまた染みがひろがる。
「あーそっか、いつもこんなに汚してたんじゃ何枚あっても足らねえかぁ」
「い…ぅ、意地悪っ、バカっ」
 怒ってみせてもでもは、銀時の言葉を聞くたびに震えている。クリトリスをいじられるのと同じくらい、いたぶられる言葉で感じているなんてこいつおかしいのかもしれない。
 そう思う銀時も、に言葉を投げかけるほど、の困った顔を見るほどに股間が熱く凝っていく。人のことは言えない。
 立っているのもつらそうに、の膝が震えていた。壁に背中を押し付けてやると素直にもたれて体を支えた。はあ、と張りつめた息を吐き、握りしめたすそで恥ずかしそうに顔を隠した。
 銀時はの下着をそっと下にずらした。つーっと粘った液がの体と下着の布の間で一本長く糸をひいた。
「うぁ…」
 胸が詰まった。さっきよりずっと濃くなった甘い香りが自分を誘っている。
「どーしよう…」
 銀時のとまどう声に、目のふちを赤くしたが顔をあげた。
「…どうしたの」
「思いついたこと全部していい?」
「………イヤ」



 をソファに座らせて、銀時はその上にのしかかった。洋服はそのまま襟元ひとつ崩さずに、下着だけ剥ぎ取って放り投げた。膝の裏に手を通し、両足を高く持ち上げる。は身動きできなくなった。
 体全体でを押さえつけながら、銀時が片手で忙しなくズボンを下げる。ほんの数枚脱ぐ手間ももどかしいほどに、股間の肉が張りつめている。下着を下ろし、先端をの入り口に突きつけただけで、いっぱいの熱い蜜に溶かされて達してしまいそうになった。ぐちゅり、と音をさせて、とろけたの膣内へ一気に強張りを突っ込んだ。
「んっ…」
 ソックスをはいたのつま先が、くん、と突っ張る。銀時は黙ったまま、進める限界までに密着した。ぎゅうっとソファに押し付けられて、苦しそうなの声が届く。
「んんっ、銀ちゃん…、やだ、苦しいっ…」
 か弱くて真剣なその声に、銀時は理不尽な憤りを覚える。下の口ではねっとりと淫らがましく、猛った銀時のものを受け入れているくせに、口先だけはお上品に嫌がっているようで。苛立ちをぶつけるように大きく数回の中をえぐった。
「やっ、待って、待って、痛っ、いやっ」
 強く早く突き刺してやると、が悲鳴まじりにぴいぴい鳴く。その声が可愛くて、もっともっと鳴かせて聞きたい。夢中で腰を動かしていたら、本当に歯止めがきかなくなってしまった。銀時は衝動にまかせて激しくを犯し続けた。
「やんっ、やだっ、ちょっとっ、もっ、もっと、ゆっくりっ、ひあっ」
 銀時は返事もせずにを抱きしめた。の内壁が銀時をぎゅうっと締めつける。ぐちゅぐちゅにやわらかいのに、つぶされてしまいそうな圧力。銀時の肉塊が反発して膨張する。頂点に向かって気が高ぶっていく。
 をソファに押さえつけ、逃げられない体にばんばんばん、と音をさせて腰をぶつけた。の反応などおかまいなしに、銀時は最も深い部分に向けて、そのままどくんっ、と精を放った。

「え…?」
 置いていかれたが、どうしていいかわからずにいる。
「銀ちゃん?」
「そのまま…な?じっとしてろよ」
 銀時はの肩に頭を乗せてがっくりとひと息ついた。目を閉じて、静かにを抱きしめる。やわらかくなった自分自身が抜けてしまわないように、その部分は動かさずにじっとこらえた。の中はまだまだ銀時を欲しがっていて、力の抜けた男性器をむしろ呑みこみ吸いついてくる。の呼吸と同じリズムで、萎えた自分が温かくやわらかく締めつけられていた。このままずっとこうしているのも悪くないかもしれない。

 少しおいて。自分だけまったりと休息している銀時を、が申し訳なさそうに引き戻した。
「…ね、もういい?」
 とにかくこの姿勢だけはどうにかして欲しい。膝が胸にくっつくくらい体をぴたりと二つ折りにされて、息をするのも苦しいくらい。両手で精一杯押し返しているのに銀時の体はびくともしない。
 銀時はを見やった。かわいそうに本当に辛いらしい。泣きそうな顔をしている。
「ああ…苦しい?」
「うん…足、痛い」
 そーか、と銀時がぼんやり返事をした。自分だけ先に果てた銀時の目はとろりとしている。その潤んだ目でのことをじっと見つめているくせに、それなのに少しも体をどけようとしない。が焦れて、半音高い声を出した。
「もう足つりそうなの、おろしていい?」
 今にも泣き出しそうな濡れた目。眉もくちびるもかなしそうに下げて、困り果てて訴えてくる。
 の顔をぼーっ、と見るうち、銀時のものがまた硬さを取り戻してきた。増した質量がにも伝わり怪訝な顔になる。
「うー?」
「お前が泣くから」
 が情けなさそうに銀時を見た。…変態。

 はもうあきらめて、銀時の首に手をまわした。
「ん。もう痛くねえの?」
「痛いよバカ」
 苦笑いして額をごつんとぶつけてやった。あいかわらず、いやもっと、痛いし苦しい。
 けれど銀時の重たさがだんだん嬉しい。体の自由を奪われて、いいようにされて逆に安心してるってどういうことだろう。
 銀時はゆっくりと、繋がった部分を確かめながら腰を前後し始めた。出したばかりの精液がごぷっ、ごぷっ、と圧し出された。体をつたってお尻の下まで、熱い液体が這っていく感触がにもわかる。銀時にかき回されて、もうどちらのものだかわからないほど混ざりあった粘液が。
 ぎしぎしとソファのクッションが耳障りな音をたててきしみ続けた。黙って銀時のなすがままになる。さっきとは変わって丁寧にじっくりと胎内を探られた。次第にの身体に力が入り、手足の先がこわばっていく。ぴくぴくと震える身体が、絶頂までの距離の近さを恥ずかしげもなく銀時に教えた。
「イキそう?」
「うゅん、もーすぐ…」
 うっとりとうなずいたの耳元に、銀時が口唇を寄せて低くささやいた。
「こんなカッコで、イケんの?すごいな、お前、いやらしい」
「ぁ…うっ」
 銀時の声でがまたびくついた。腰から背筋がぞわりと震える。
「苦しいんだろ?ふつーの子は苦しいと、気持ちくなんねえけど?お前気持ちいいんだ?」
「だめっ、言わない、でっ、…」 
 ひとこと責められるたびにの中がびくん、と縮まる。銀時の方が先に終わらされてしまいそうだ。腰の動きを早めてやるとが銀時の頭を夢中でつかんだ。奥まで挿れて小刻みに腰を振りをさらに高くへ導く。
「なんで?もっと言って欲しいんじゃねえの?ぐいぐい締め付けてくるんですけど?意地悪言われて、感じんの?感じてんだな?おかしいんじゃね?」
「あああっ、ごめんっごめんなさいっ、だめ、もうっ…!」
 に向かって倒れこむように、深く深く体を重ねた。が甲高い声で叫んだ。
「……っ!!」
 きゅううっと白い喉をさらしてが大きくのけぞった。ほぼ同時に銀時は、登りつめたの中にたっぷりと二度目の射精をした。




 が身体を震わせながら、銀時に抱きついて余韻を味わっている。銀時も今度はおとなしく、の中からくたりと抜け出た。膝に通した手をようやく抜いてやったけれど、の足は固まってしまってすぐには動かせないようだった。
 少しだけ離れて目をやると、はしたなく開いたままの足の奥に、たった今まで自分をくわえ込んでいた部分がよく見えた。白濁した液体で汚されているに、征服感がこみあげた。

 
しかしそれと同時に、銀時はあることに気づいて青くなった。言ったら絶対に怒られる。でも言わないと後からもっと怖いことになりそう。

「…さんゴメンナサイ」
「…なあに」
 はまだまぶしそうな顔でぼうっとしていた。銀時の視線を感じて、太ももの途中までまくれ上がっていたスカートをのろのろと下ろして足を隠す。
 実はそのスカートの中。ずっとお尻に敷いていた側には。
 からあふれた銀時の精液がたっぷりとこぼれて染みこんでいる。






「この生地水洗いなんか絶対しちゃダメだよねえ?もうっ」
 下着姿のが洗面所で苛ついた声を出していた。濡らした手ぬぐいでぱんぱん叩いてスカートに付いたシミとり作業。服地が紺色なので見た目にはわからないが、いやらしい汁がもう完全に染みこんでしまっていて、きっと乾くとぱりぱりになる。
 なかなか声も掛けずらかったが、銀時はの背中におそるおそる言ってみた。
「あのー…クリーニングとかは…」
「出すの?これを?クリーニング屋さんに見せるの?なんのシミがついてると思ってんの?」
 うわ怒ってる、怒ってるよ。銀時は頭を抱えた。でも。

 抱えた腕のすきまから、銀時はの後姿をまじまじと眺めた。なるほど、上はこうなっていたのか。下半身しか見ていなかった。もったいない。
 おそろいのデザインのブラジャーに、上からやわらかなシルエットのスリップを重ねている。べたべたになったパンツをもう一度はく気にはならないと見えて、薄もの一枚めくると下はもちろんまた素肌。スリップの丈が短めなので、水道へ向かって前のめりになった拍子に、ちらちらお尻が見えそうで見えない。

「…」
 銀時がのひじをつかんだ。
「え、なに?なになになに?」

 黙ってを和室へ引っ張っていった。なにかまた違うことを思いついたらしい。






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