何があってもうろたえないようにお風呂で全身ぴっかぴかにした。
 向かいでテレビを見て笑っている銀時の様子を窺いながら、はちょこんとソファに姿勢を正している。

 時間は日付けも変わる少し前。どーでもいいバラエティがようやく終わり、銀時の手がリモコンに伸びる。では和室へ、とも腰を浮かせかけたのに、テレビを消した手は横へすべり、机の上のジャンプを掴んだ。もう何曜日だよ!何回読めば気が済むのよ!口をつきそうになったツッコミはやっとのことで飲み込んだ。
「ねぇ寝ないの?」
「あぁ、もうちょっとな〜」
 顔も見ずに返されてしまった。
 少しでも顔を見ていれば、が今夜はその気でいるとすぐにわかってくれただろうに。いつもは銀時から手を出すくせに、こんな時に限って間が悪い。

 正直に言ってしまおうか。は真剣にそんなことまで考えた。
 もしもーし。が珍しく欲情してますよう。

 いや。珍しいのは発情していることではなくて、それをこうして表へ出すのに躊躇がないこの気持ちの方だ。
 こんなことはめったにありませんよう。
 ほらほら銀ちゃん、早く寝ないと絶好の機会を逃してしまいますよう。

 足元を見られないように、時間をある程度置いてから、もう一度声をかけてみた。
「ねえ、寝ようよ」
「悪ぃもうちょっと。あ、お前眠いの?だったら先に寝てていーよ?」
 そうじゃなくて!


 銀時の目はやっぱりジャンプから離れない。は実力行使に出ることにした。おもむろに立ち上がり、銀時の背後へとてとて回り、大きな背中へそっと抱きついた。
「ね」
 ぴとっと頬をくっつけると、風呂上りの身体が温かくて気持ちいい。
「寝よ?」

 艶のある(…と、自分では思われる)声で訴える。切なげにねだってみたつもり。実際胸が少しだけ苦しい。銀時の匂いをいっぱいに吸って、頭もくらくらしそうだった。

 たくましい首をちゅうっと吸った。ふーっと耳に息を吹きかけた。
 耳の中を舐めんばかりに囁いた。
「…ねぇ」
「ひゃははっ、くすぐってぇ!」
 なのに銀時は体を揺らして笑っただけだ。と違って別段耳は弱くないらしい。
 ずるい。

 首に後からぶら下がるような、その姿勢のまま銀時の読むジャンプをのぞきこむ。が、数秒で飽きた。コマばっかりが大きくて意味のわかんない格闘マンガだ。どうせこんなのすぐに終わるよ。
 しかしそんな駄作に自分が負けているというのも承服しかねる。とにかく銀時の気を引きたくて、一生懸命は考えた。


 しばらくの後、ぼそりと独り言めかして呟いてみる。
「このあいだの着物って、まだあるのかな…」
 もっとも、独り言「めかした」つもりなのはだけだ。
「おっ!?また着てくれんのっ?」
 だが銀時は食いついた!飛び上がるほど嬉しかったけれど、はぷいっとそっぽを向いた。そこは駆け引きというもので。
「えー。は別にぃ、でも銀ちゃんが着て欲しいならぁ」
「うわ!マジでか!お願いします!さん着てください!このとおり!」
「えー、どうしよっかな〜、あれ恥ずかしいからぁ…」
 駆け引きしているつもりでいるのもおそらくはの方だけだ。



 むちむちと身体に密着する、足の付け根も見えそうに短い、色だけは可愛いピンクのナース服だった。頭にはキャップもちょこんと乗せた。
 和室で着替えてはくるりと回ってみた。よし!これなら!と裾から伸びた足を見た。着物とセットになっている膝上丈のタイツは白。足の太さが強調されるような気がしては本当は好きではないけど。

 ところが銀時はそれでもジャンプから顔を上げない。
 えぇぇぇぇ?!
 屈めば中まで見えそうな、こんな恥ずかしい服まで着たのに。
「ねぇ」
 手持ち無沙汰に部屋をうろうろ。
「着替えたんだけどなー…」
 聞こえよがしにひとりでぶつぶつ。



 だったら次の手だ。
 は窓辺にぺたんと座った。窓際に置かれた事務机の、引き出しを開けてその奥を探る。そこにはの大嫌いな忌々しいおもちゃ箱があるはずだった。
 は嫌いだが銀時は大好きな大人のおもちゃ箱。ときどき新ネタが増えているところがまた憎らしい。
 だが今日は、禁断の蓋を自ら開けてみる。手に触れたものを適当に取り出すと、淫猥な形をした黒いゴム製の物体だった。ゴムなんてどんな色にでも作れるだろうに、ピンクや水色の可愛い色にだって作れるだろうに、わざわざ真っ黒で作ったのは、視覚が与える効果も狙ってのことだろうか。するとこれは女の子を威嚇する用のおもちゃなのね。…なんてことが頭の隅をよぎる。バカバカしい考察だ。
 銀時がきっと聞き耳をたてているはずだから、それをふまえつつスイッチオン。
 うぃーんとモーター音がして、男根状のゴム製品がうねうねと身をくねらせ始めた。
「うおっ」
 慌ててスイッチを切って、おもちゃを元の箱にしまう。あらためて見るとあまりに卑猥だ。冗談に使っていいモノじゃなかった。
 ぽっと赤くなった頬を押さえてソファの方をまたうかがう。けれど相変わらず銀時はのことなど見向きもしない。今週のジャンプの一体何がそんなに面白かったんだろう。


 ふたたびおもちゃ箱を探ると、今度は銀色に光る手錠が出てきた。あーはいはい、前に使った覚えがある。妙にずっしり重たくて、本物かと疑うシロモノだ。
 片手で持ってちゃらちゃらと手遊び。右手で左手を逮捕してみた。
「がちゃーん!…なんて」
 ちらりと見たが、銀時はぴくりとも反応しない。ちぇ。は舌打ちをひとつして、手首の手錠を振り回した。手近にあった事務椅子の足に、もう片方の輪をはめてみる。
「きゃー動けなーい。たーすけ〜て〜」
 椅子につながれた状態でとりあえず棒読みで言ってみて、
 力が抜けた。
「………バカじゃないの」


 もう一度銀時にくっついてみよう。手錠をはずそうと鍵を探して、ところがそこでぱちぱちとまばたき。は思わず引き出しを覗き込んだ。
「?」

 手錠の鍵が、見当たらない。


 あれあれ?とおもちゃ箱ごと引っ張り出して、中をあさったがどこにもない。何かのはずみで落ちたのかもと床の周りもぺたぺた触るが、やっぱり鍵は落ちていなかった。
「うそ?」
 どうしよう、とついに声に出る。銀時に聞かせる用ではなくて、本当に困って口をついて出たのだ。右手は十分自由がきくから、それほど切羽詰ってはないけれど。

 するりと抜けられないだろうかと何度か試してみたものの、銀の輪っかは手首の位置ではゆったりなのに、手のひらは決して通らないという絶妙のサイズ。しかもじたばた動かすうち、次第に輪が狭く絞まってきて、手首まで擦れて痛くなった。


 みしっ、とそこへ床板の軋む音。ようやく銀時のお出ましだ。間が悪いんだか良いんだか。
「あ、ねえ銀ちゃん、これ取って…」
 銀時はのそばへしゃがみこみ、しみじみ感じ入ったという顔で何度も何度も頭を振った。
「そこまでするかぁ…」





 声は笑いをこらえようとして、全くこらえきれていない。手で口元を覆っていてもニヤついた顔も隠せていない。くつくつと肩も震えていた
「そこまでやるか普通…」
「ちが、違うよ!他はともかく、これは事故…」
「どこまでやるかと思って見てたら」
「見てたのかよ!!」


 どっしりと腰を下ろした銀時がの身体を抱き寄せる。ぎゅっと抱きしめ、がしたのと全く同じにまずは首筋へ口付けた。それから耳に息を吹きかけ、耳の中を舐めながらささやく。
「そんなにしたかったんだ?」
「ひ…っ」
 銀時にはてんで効かなかったなにもかもが、には効果覿面だった。ぞわぞわと全身を走り抜けたくすぐったいにも似た快感に、声はいきなり艶めいている。自分で聞いてもわかるほど、さっき作ってみたのとはまるで異なるなまめかしさだ。
「や…っ、あっ…いやぁっ…」
「あっそ。イヤって言ったとこで今日はお終いな」
「やぁぁっ、そんなぁ!」

 目の中を覗かれにっこりあどけなく笑われる。念を押すようにあらためて訊かれた。
「そんなに、したかった?」
「………う、うん」
 またしても思い出し笑いをして、銀時の顔がにんまりと崩れた。
「なーにやってんだろねお前はもう。物欲しそうな顔してうろうろうろうろさァ。もうどーしようかと思ったよ。あんまりかわいーことしてくれっから、銀さん途中で手ぇ出しちまうとこだったじゃねーか」
 全部わかって見ていたらしい。
「わ、笑うなぁっ…あっむ…っ」
 真っ赤になって抗議しようとした口は唇で強引に塞がれた。


 けれど唇を味わう間もなく、は両手を床につかされた。腰から下がすーすー涼しくて頼りない。遊びの為のナース服は不自然に裾が短くて、よつんばいになるだけで下着まであらわだ。深く縦皺の寄った布地が銀時の目にまぶしいはず。
「お、パンツはいてやがる生意気に」
「あ…ったりまえでしょお…こんな短いの着るのにぃ…」
 ふわりと背中にのしかかられる。重力でたるんと落ちた胸を、下から手のひらがやんわりと支えた。重たい乳房をすくうように優しく揉み解されながら、けれどもはどうしても手錠に気をとられる。
「ちょ、やだぁ、ねぇ、これ、はずしてよう」
「え?ヤダって?」
「あんっ、うそうそ、ヤじゃないっ、ヤじゃないよっ」
 惜しむ風もなく手を引かれ、慌てて撤回、腹を決めた。いいよ、いいですともこのままで。


 襟元から手が忍び入る。太いのに柔らかな指が素肌を執拗に這い回った。探り当てた突起を摘まんでいると、乳首はすぐに硬く立ち上がった。ぴん、と意地悪く爪弾かれ、背中がくんっとのけぞった。
 期待に胸と、もうひとつ違う場所が疼く。
「ね…、あん、ねぇ、銀ちゃん…」
「気持ちいい?」
 一生懸命に頷いてみせた。こうなると駆け引きだの恥じらいだのは簡単に頭から消え失せる。
 もっともっと、決定的な刺激が欲しくて喉が勝手に甘い声を出した。この声はやっぱりしらふじゃ出せない。銀時に酔わされていないと。
「あのね、あっちが…」
「あっちって何」
「下、下の方…」
 固くあわさった太ももが焦れったそうに擦りあわされる。下着の脇から入りこもうとした指をいやいやと身をよじって拒むと、手首の輪っかがちゃらちゃらと硬い金属質の音を鳴らした。
「も、だめ…、あそこが、ね、期待しちゃって、ずきずきして…痛いくらいなの…」

 肩越しに背後を振り向いて、潤んだせつない目がねだる。
 銀時の下半身はに存在を誇示するように、ぐいぐいと押しつけられている。下着越しに感じる熱い塊。銀ちゃんだって、もうそんなに。はちきれそうに大きくなって、やけどしそうに熱いくせに。

 ぺろりと唇を舐める。
 それから、全身全霊で媚びた。
「指じゃイヤ。ねぇ、銀ちゃんの、銀ちゃんの、早く、ちょうだい…?」


 絡まり合った視線の先で銀時の赤い瞳が泳いでいる。余裕を装うメッキが剥げて、一瞬だけ情けなく眉が下がった。
「…は、あぁ、もう、お前はもう…」
 喉がごくりと動くのが見えた。



 気短かに必要なものだけを剥ぎ取られる。床に頭を押さえつけられ、ヘアピンで軽く留めただけのナースキャップがぽとりと落ちた。
 うんと高く上げさせられた尻、覆いを奪われ露出させられた秘部、それなのに膝のかなり上まで靴下できっちり覆われた両足。アンバランスな光景を今は楽しむこともせず、銀時がの腰をつかみ、性急にその中へ肉を埋めた。
「は…っ、…あ、は…」
 待ち焦がれていた熱に貫かれ、嬉しすぎてろくに声も出ない。ただただ震えが止まらなかった。

「あっつぅ…」
 背中では銀時が額に浮いた汗を拭っている。
「…中、熱い。もしかして今日やべーのかな」
「なぁに…?」
「…まいっか」

 大きく一度、深く突かれた。いつもは嫌う姿勢なのに、はくんくん甘えるように鼻を鳴らし、夢中で腰をくねらせる。貪りつくす勢いで銀時に身体をすり寄せた。
「くっん、んふっ…、ふうんっ」
「いやらしー声出しちまってもう。そんなに欲しくてうずうずしてたわけ?」
「うん…、欲し…っ、すごい、欲しかったのぉ…、もっとぉ…銀ちゃぁん…」
 赤裸々な言葉をまた笑われて、は困って顔を伏せた。気持ちいいときに笑われるのはキライ。いたたまれない気持ちになる。
「もぉ…、らめぇ、笑っちゃ、…ああんっ」


 ゆっくり、じっくりと前後する肉が内壁をこすりあげるたび、溢れた粘液が内腿を伝った。
 ずっとにやにや、からかうように笑いながらも、銀時はうなじに吸いついてくれる。耳たぶを口に含んでくれる。の大好きなことばかり。
 耳のすぐそばで低音が囁くと、空気の振動が直接腰にきては崩れ落ちそうになった。
「ああっ、あっ、銀ちゃぁん、はあっ、あっ、ああっ、それっ…それぇ…」
「これいい?」
「うんっ、それ…っ、いいよぅ…」
「こっちは?」
 がじっ、と肩に歯を立てられた。全身の産毛が逆立つ思い。
「あああんっ!」
 短い髪をくしゃくしゃになるほど振り乱した。左手が椅子をがたがたいわせた。片腕だけはぴんと伸ばしたほんの少しだけ不自由な姿勢がをいやでも昂ぶらせる。
「何されたってイイんじゃねーか」
「うんっ…うん、いいのぉ…銀ちゃんの、全部…」
 たくさん反応すればするだけ良くしてもらえる。声をこらえる理由なんかない。



 何を思ったかふと銀時が、の空いている右手をとった。
 身体の下を通らせて、自分達二人の重なり合ったその場所への指先をいざなう。自分自身が根元までくわえこまれた入り口を、交合しているまさにその部分を、銀時はの指になでさせた。
「…ここ。わかんだろ?」
 ぎゅんとの中が締まった。銀時が思わず声を上げるほど。
「おおおおすげぇぇぇ…」
 とっさに逃げ出すの手をぎゅっとつかんで離さない。
「今のなに。すげぇ締まったよ?お前自分でわかんない?」
「いわ、い、言わないでぇ…」
「あぁ、自分でもイヤらしいことさせられてんのはわかってんだ?」
 二人のつなぎ目をもう一度なぞらせる。銀時を受け入れる為に、信じられないほど濡れて、大きく開かされた花びら。ほんの少し撫でただけなのに、指の腹はすぐべとべとにまみれた。
「いい、そんなの、いいのっ」
「イイの?」
「違うぅ、そんなとこ、触らなくていいようっ…」
「そ。んじゃ、こっちは?」

 掴まれた指は前方へ、別の場所へと導かれた。ぷつんと息づく小さな肉芽、の最も敏感な部分へ。上から手を添え押しつぶさせると、それだけで腰がびくんと浮いた。
 こねて、弾いて、の指を使って銀時が触ってやる。ぎこちなく強ばっていた指は、そのうち自ら動きはじめた。
「ん…っ、ん…あ…」
 息をのみこむような喘ぎ。ぶるぶると首を振りながら、下の口が窮屈に狭まっていく。
 銀時が手を離してみても、の手はそこから離れない。自分の身体でいつまでも遊んでやめようとしない。
「なにやってんの」
「はぁ…あっ、ん…」
「なーにやってんのぉ?」
「だって…、銀ちゃん、がぁ…、やれって…」
 から竿の半分ほどを抜き、たっぷり溜めて、深く突いた。
「んなこと、言っ、たっ?」
「きゃんっ!」
 二度三度、腰を引いては激しく打ちつける。そのたび性器にまとわりつく液体が粘り気を増していくようだった。ぐちゅっ、ぐちゅっと粘ついた音が返ってくる。音にあわせての身体が跳ねる、のけぞる。けれど自分を慰める手は、もう離せなくなっていた。
「銀さん独りエッチしろなんて言ったっけ?なにやってんの?うわ、やーらし」
「やんっっ!いっ、言って、言ってない、けどっ、あっ、ああっ、あんっ、でもっ…」
 でも。
 硬く腫れた蕾をこすってつぶして。莢の中に包まれた種が勃起して硬くなっていく。
 知らなかった。びっくりするくらい簡単に気持ちよくなれる。頭が痺れる。白くなる。押しつぶす。あ。だめ。気持ちいい。

 腹に、ふくらはぎ、太もも、腕も。身体の肉の柔らかい部分が、どこも引きつり、震えるのをやめない。銀時を飲み込んだ内側が細かな収縮を繰り返す。その間隔も次第に短く。
 銀時も生唾を飲んだ。意識して平静を保っていないと、こちらまでもっていかれそうだ。

「あっ、あんっ、いいのっ…、んやっ、あっ、あっ、ああっ、だめっだめっ、これ…っ」
「あーあ。がイケナイこと覚えたよ。そのままイクの?自分でいじってイク気?へぇぇ?」
「ああっ、だめ?、だめっ?いっ、いっちゃ、だめっ?」
「いーや?」
 抽挿のリズムが早くなり、を手助けしてくれる。
「は…あ、ああんっ、好きぃ…、銀ちゃん、銀ちゃんっ…だいすきぃ…」
「可愛く言ってもダメですぅ、この、淫乱娘っ、もうイクことしか考えてねぇくせに」
「うんっ、うんっ、んっ、んぁっ、っ、いくのっ、いっ…いっちゃうっ…!」
 がたん!と椅子が傾いた。声にならない叫び声を放ち、の背中が弓なりに跳ねた。的確すぎるほど的確に、責められ、追いつめられたそこから気の遠くなるような絶頂が始まる。
「あっ…!ああっ!あっ!ああんっ…!」
 がくがくと煩く椅子をがたつかせ、大きく、小さく、は何度となく達した。







 栓をはずされこぽりと漏れた白い液体は、摩擦で泡だったの蜜だ。銀時はまだ放ってはいない。濡れ光る股間の一物は元気よくそそり立っている。
「こーら、まだだろ?ぐったりすんのァ早いって」
 手錠の鍵は、別の引き出しにしまわれていた。周到なことだ。指先ほどの小さな鍵が椅子の足に掛けられた輪を外す。達したばかりの虚ろな頭で、それでも輪のついた左手をも銀時に差し出した。
 ところが鍵をはずすどころか、反対側の手と共に、その手はぐいとからめとられた。

 空いた手錠の片方を窓の格子にくぐらせて、銀時はそれをの右手にがちゃりとはめた。
 窓格子へ張りつけにした格好だ。さっきまでとは不自由度が桁違い。頭上でまとめられた両手は満足に動かすこともできない。
「あー…」
 銀時はのあごをつまんで上げさせた。ことさら乱暴な口をきき、そんな自分にきゅんとときめく。
「オラ、もう一回ぶちこんでやっから足開け」

 の両足がこわごわと、でも言われた通りに開かれる。銀時を見上げる目は半分閉じて、口はうっすら開きっぱなし。まるで呆けた娘のよう。下着をまとわりつかせた足首がやたらと淫靡だ。
 左右ばらばらに靴下のずれたの膝裏を持ち上げて、固さを保ったままの肉塊を銀時は再び挿入した。
「あ…いっ…」
 すぐさま新しく来た波にの目はとろっとろに蕩けきる。のけぞる白い喉に噛みつき、銀時の口角もにたりと上がった。さあ次は自分のターンだとばかりに。


「手錠ってのはこう使わねーと」





−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−