お江戸はかぶき町の裏通り、住民達が普段使いにする地味な商店の並ぶ一画。古びて小さなだんご屋の前に、場違いな高級車が乗りつけた。
 数人ぽっちのおばちゃん客とその奥にいた店番が、なんだなんだ?と顔を出す。
 道幅いっぱいに停まっているのは、街を流している駕籠タクシーよりかなり高級な黒塗りハイヤーだ。蝶ネクタイの気取った運転手がわざわざ後部座席へ回り、ドアをうやうやしく開けた。
 運転手といえども立派な紳士、場末の茶店にたむろしていた客の間に緊張が走る。

 が、車を降りた乗客を見て、たちまちみんな警戒を解いた。
 ぱたぱたこちらへ両手を振るのはここの看板娘のだ。
「ただいまあ!銀ちゃんお店番ありがとう!」


 ところがなぜか銀時だけは、を見てますます不審な顔をした。「おう、おかえり〜」と迎えに出かけた足がその場に立ち竦む。
「へっ?なんだお前そのカッコ」

 今日は、上京してきた父親に急に呼び出されて出ていった。それ自体はそう珍しくもない。父に会うとなればそれなりの仕度をするのもいつものこと。の着ている豪華なよそいき、千をゆうに越す花々が細かに刺繍された振袖は、銀時が今朝着せてやったものだ。背中に花咲く金色の帯も同じくそのとき結んだもの。
 ところが目の前に居るは、そこから見違える進化をとげていた。
 「自然な」化粧が念入りにほどこされ、おかっぱだったはずの髪は腰につくほど伸びている。もちろんカツラなのだろうが、短い髪を無理矢理結ったより晴れ着にはよく似合っていた。
 女はコワイ。それだけで朝とはほとんど別人だ。

「そうだ銀ちゃん、悪いけどお部屋に荷物持ってって」
「あ?荷物?おう」
「どうぞこちらでございます」
「はぁどーも…」
 銀時は白手袋もまぶしい運転手に小さな小さな包みを渡された。


 分厚い草履で高くなった背を、しゃんと伸ばしてさらに高く。姿勢良く歩くの後ろに包みを提げた銀時が従う。それを見た客が爆笑した。
「やだアンタ、まるでおともの衆じゃない」
「あらまあホント。お嬢サマに粗相のないようにしなさいよ?」
「銀ちゃんこっち」
「わ、わかりました」
「敬語になってるわよ」
「あっははは!」
 どっと陽気な笑い声。も一緒になって笑った。お客の言った「おともの衆」に銀時がノったと思ったのだろう。

 見ている者も巻き込んでへらへら笑わせてしまうような、心のほぐれるのんきな笑顔はいつもの看板娘のもの。
 けれどもやはり銀時だけは、どうにも居心地悪そうな煮えきらない目でを見ていた。







 今日の店番は正式な依頼だ。報酬が発生するからには店じまいまで仕事に抜かりはない。
 長っ尻の客をようやく追い出し、掃除を終えて戸締りも完了。サービスに夕飯の買い物くらいはしてやろうか、も疲れているだろうし…なんて思いながら銀時も前掛けを外しひとやすみ。ひとまず奥へ引っ込んだ。

 するとがまだ着替えもせずに重たい振袖のままでいた。背中に結んだ帯があるので壁にもたれることもできず、畳の上にちょこんと座る様は見るからに窮屈そうなのに。
「おつかれさま。銀ちゃん今日はありがとう」
 そんな振袖人形が可憐な笑みでねぎらってくれる。
 とっさに視線を逸らしてしまったのがに目ざとく見つかった。
「どうしたの?」
「あ?いや、べ、別に?つーかお前それいつまで着てんの」
「えへへせっかくきれーにしてもらったから銀ちゃんにちゃんと見てほしくって」
 さらさら流れる黒髪には、洋装の花嫁さんが持つ花束のような飾りが揺れている。先に鈴のついた房飾りからはしゃらしゃら雅な音がしていた。
「ね、このかんざしかわいいでしょ。着物にぴったりって見つけてくれたの」
「へ、へぇぇ…そう、ふーん…」
「…?」

 長い髪のせいか化粧のせいか見慣れた顔よりおとなびて、小動物の雰囲気は薄い。背丈が伸びたわけでもないのにがやたらと大きく見える。頭をすぱーん!とはたいたり、鼻をつまんで引きずり回したり、ほっぺたつねってお仕置きするなどとても許されない気がした。
「ほらね、かわいーでしょう!」
 しかもこの自信に満ちた態度。

 こともあろうにその娘は、銀時のような雑草風情をうっとり熱い目で見上げていた。いつしか瞳に穏やかでない色気が漂いだしたのを知り、身体はいよいよこわばった。
 しずしずがやってきて、一段高い畳の上から土間の銀時を抱きしめる。銀時の、それから部屋の匂いを吸い込み、自分の縄張りへ戻ったことを犬ころのように確かめて、ほっと身体の力を抜いた。

「あ…」
 顔をうずめた肌触りが違う。むにむに柔かなの胸ではなく、刺繍の入った豪奢な絹地だ。あわてて銀時は顔を上げた。
「こ、こらこら、銀さん一日労働して汗かいてんの。顔にも脂浮いてっから。きれーなおべべが汚れちまうから」
「いいのよ。どーせもう手入れに出すんだもん」
 そっと手のひらに頬を挟まれに唇を奪われた。小さな舌はなんの迷いもなく隙間をくぐり中を舐める。
「おいおい…おめーは何を…」
「ふう。きょうは疲れちゃった。あっちでもこっちでもにこにこしてさ、気難しい人のお相手させられてさ」
 ふたたびぎゅうと抱きつかれ、今度はの重みがすべて、ぐったりと肩へしなだれかかった。行き場に困った銀時の手は、に間違っても触れないようにじたばた宙をもがいている。
「やん。銀ちゃんもぎゅーってして」
「え…、いや、でも…」
「ぎゅう!」
「あ、はい…」
「…?」


 いい加減、もそのあたりで不審を覚えた。いつもは「やめろ」と言われてもきかずに尻をまさぐる手が、ここまで言われて初めて伸びてくるなんて。
 それもこのうえなく遠慮がちに。
「ねぇ。どうしたの?銀ちゃん変よ?」
「ええっ?あぁ、いや、ははは、いやいやなんでもねぇ」
 とは言いながら銀時は、を決して見ようとしないのだ。
「ほんとおかしい。どうしたの?どっか具合でも…」
 びくり!

 熱をはかろうと伸びた手に、銀時が怯えて身を引いた。一瞬かちあったふたつの視線はすぐまた銀時から逸らされた。
 驚いたのはのほうだ。いつもは余裕たっぷりにコドモので遊んでいる男が、見たこともない必死な顔を耳まで真っ赤に染めている。
 もしかして…。

「…もしかして、がこんなかっこだから人見知りしてるの…?」
「………」
 息を飲む音は「ぐぐっ」と大きく、の耳にもはっきり聞こえた。

 …大当たり。
 と言いたいところだが少し違う。
 銀時がきまり悪そうに、目だけでちらりとを盗み見た。
 さっきの敬語はノリなんかじゃない。うっかり自然に出てしまったのだ。
 はわかっているのだろうか。客に囲まれた自分の姿が、まるで下々の者達と気さくに語らうお姫様だったと。

 銀時は、きれーな着物を着た「お姫様」に、すっかり気後れしてしまっていた。






「ふぅぅぅ〜ん。あぁそう。そーいうこと…」
 気がつけばの顔にはにやにや、まるで銀時がするような不穏な笑みが浮かんでいた。
 思わせぶりに目だけでニタつくあの感じ。

 黒くて深い瞳に魅入られ、銀時はもう目も逸らせない。両腕を首へからめられても、ちゅ、ちゅと顔中ついばまれても、棒のように立ち尽くすのみ。
「ねぇ銀ちゃん…」
 そうしては甘えてねだった。自分がどんな表情でいるのか自覚した上のことに違いない。その顔でささやかれるだけで、腰にじりじりと痺れが来る。
「あのね、ねぇ、疲れたときって、銀ちゃんに抱っこされたくなるの」
「抱っこなら今…、してるじゃねーか」
「うん…そうだけど…そうじゃなくて…ね?」
 ぴとりと身体を密着させ、特に下腹をすり寄せてくる。着物の中に隠れた肌の、そのまた中身を誇示するように。
「ちゅうして」
「ん…」
 まるで魔法にでもかかったように命じられるまま口づけた。軽く唇に触れたあとは、ほんのり紅のひかれた頬へ。
「今日の振袖きれーでしょ」
「うん…」
「うふ。ありがと」
 「でも…」と声が低くなった。
「きれーなのはの着物だけ?」

 耳のすぐそばにささやく間も、下腹はぐっと押し付けられている。絹で幾重にも包まれた中を、逆に布地を隔てるからこそ、ありあり感じさせられた。
「ね。きれーなのは着物だけ?」
 銀時自身知らないうちにかすれた声が答えていた。
「…いや」
「ん?」
「着物、だけじゃなくて…」

 知らぬ間に渇ききっていた喉に、唾を流して湿らせる。

 絹の衣装よりその中身が。肉体よりもその存在が。

 そうとはっきり思った瞬間、身体に大きな変化が起きた。



「あーらら?銀ちゃんどうしちゃったのぉ?」
 股間に生まれたひとつの熱が、の身体を押し戻していた。揶揄し冷やかすの声音が凍りつくほど恥ずかしい。なのに萎縮する気持ちと関わりなく、それはひとりでに膨らんで柔らかな肉に食い込みたがった。

 頬から肩へ髪が落ちる。慣れない長さをわずらわしそうに首を振りながら、がひざをついた。
「なに…?」
「じっとして」
 長いたもとが床へ広がる。三つ指ついたお辞儀の姿勢で、は顔だけくいと上を見た。悪戯っぽく目を笑わせて。
「してあげる」

 着物をかきわけズボン越しには膨らみをそっと撫でた。親愛をこめた頬ずりも。
「ふ…くっ…」
 それだけで背筋を悪寒が走る。呼吸に紛らせようとしても熱い溜め息は隠しきれない。
 頬と指とで挟むように、嬉しそうに撫でさすられるうち、またぐらの布は湿り気を帯びた。

 服の上からさんざ焦らされても、それでも銀時はその先をに急かす気にはなれなかった。ズボンに手がかけられた時には、むしろ後退りしたほどだ。
「じっとするの!」
 短く叱り飛ばされて、あえなく下着ごとずらされたが。

 ぽろりとそれがこぼれ出た。押さえをなくして勢いよく勃ちあがる息子が情けなかった。きれーな着物のお姫様の目にこんなモノを見せてしまうとは。
 淡い桜色に塗られた爪が、裏側をつつーと一筋なぞる。手入れのされたその指先に、いきり勃つ男根の取り合わせは不似合いどころかグロテスク過ぎた。
 それでもじかに触れられれば、その快感に震えずいられない。
「うわ。もうこんなに大きいよ」
「やめろ」
「銀ちゃんてそんなことばっかりかんがえてるのね」
 思わずを見下ろした目を挑発的に受け止められる。
「だってそうでしょ?ほら、見てみなさいよ」

 確かに言い訳のしようもないものが天井を向いてそそり勃っていた。気後れして縮こまるどころか。
「着物ももきれいって言ってくれたくせに。きれーなもの見てこんななっちゃうんだ。銀ちゃんてほんとそれしかないのね」
「あのな…んっ!ぐっ!おま…ぁぁっ…」
 さすがに反論を試みるものの、ぎゅうっと握られ声は消え入った。腰もくだけるところだったが、むき出しで放り出してある尻をにぴしゃりとひっぱたかれた。
「だめ。ちゃんとたってなさい」
「は、はい…」
 の両肩へ手をついて、がくがくする膝をもちこたえた。



 唇を思う存分見せつけ、が銀時の先端をぱくりと口に含んだ。
「あぅぅっ…」
 ほんの先っぽが生温かいぬかるみに包みこまれただけで、情けない声が漏れてしまう。中でちろちろ舌をそよがされ、自然と腰が前へ出た。
 ぴくぴく脈打つ肉棒を、小さな口には余るモノを、は精一杯奥までくわえてほっぺたをふくらませている。
 空いた手のひらは捧げ持つように袋を下から撫でてくれた。

「ぅあ…いい…。…、うん…、すげーきもちいい…」
 その手はいつもと同じに細やか。何度か投げられた厳しい声も嘘に思える優しさだった。
 の与えてくれる快感に銀時は安心して身をまかせた。
 ゆっくり腰を動かして、猛る男根を前後させる。
 そして黒髪を強めに撫ぜた。ひとつの合図のようなもの。
 こうすればは精を吐き出される心の準備をするはずで、身体が逃げてしまわないよう強く抱きついてくるはずで…。

 ところがは反対に、突き飛ばすように銀時を吐き出した。
「へっ…?」
 甘えて何も考えられない頭が動きだすより早く。は勃起を強く握りしめ、自分の胸の上でしごき始めた。
「ちょ…、ちが、んんっ、違っ…、そうじゃ、ね…ん、んんっ…」
 破裂間際に迫っていたそれは持ち主の意思とはうらはらに、大喜びで腫れあがる。の唾液より粘ついた汁がやがて先端には滲みはじめた。
 今にも膝が折れそうだ。
 へ向かって倒れかけ、その直前で立ち直った。体液まみれでてらてら光るモノを危うくきれーな振袖になすりつけてしまうところだった。

「そうよ。気をつけてね銀ちゃん」
 冷たく笑い含みのに銀時がぎくりと顔を上げる。
 そのくせぎりぎりまで近寄って、は着物に触れるか触れないか、きわどい位置で銀時を握った。ぴくぴく痙攣し続けの危なっかしい男のモノを、凝った刺繍の上で弄んだ。
「イっちゃダメよ。ここで出したら着物に落ちちゃう」
「は…」
 きれーな着物を汚すところを。汚らわしい飛沫を浴びせるところを。うっかり夢想した銀時も銀時だ。

 見透かしたように睨まれた。
「こぼしたら絶対許さないから」
「は…っ、あぁ…でも…でも…」
「だめ」
 指の輪っかで搾られる。先端を舐められ、舌でくすぐられる。

 熱い塊が根元に溜まった。銀時はの髪を撫で、気味悪いほど媚びてねだった。
「なあ?」
「だめよ」
「ふぁっ…、くっ、ん…、汚さねぇ、汚さねぇから…」
 口へ突っ込んでやろうとしたが、堅く結ばれてそれは叶わない。
「あぁっ!てめ!あぁぁっ、ちくしょ…、ちょ、出る、もう出るって、なぁ、あぁっ、さん、頼むからぁっ!」
 声が甲高く裏返った。
 男のものとは思えないほど。
 他の誰にも聞かせられない。


 ついに目の前が真っ白く弾けた。「キレた」というヤツなのかもしれない。銀時はを押し倒し、反らせた頸へまたがった。
「きゃっ?!」
 とっさに背けられた顔を片方の手で押さえつけ、反対の手で自身を握ると最後の一歩をしごきあげた。
「…んくっ!」

 の顔面にぼたぼた、ぼたぼたと、粘り気の濃い白濁が落ちた。





「はぁはぁ、はぁ、はぁはぁはぁ…」
 短い息がただひたすら、薄暗い部屋に響き続ける。そのうち我に返った銀時は自分の所業に青ざめた。品良く化粧のしてあった顔を、精液が流れ落ちていく。
 「なかったこと」になるわけもないのに、必死に指で拭いとった。
「わ、わりぃ…」
「さいてーね」
 萎びたものを一瞥され、そのうえ見下げ果てた顔をされ、冷たい仕打ちに胸が震える。
 だがの言うことは真実だ。震えは後悔したからではなく、責める言葉に感じているせい。たった今出したばかりというのに興奮はまるで冷めやらない。
 もっとにしたい。次は中に。

「あーあ。だめって言ったのに。あれくらい我慢もできないの?」
「すいません…」
「これで満足?」
「………」
 言い澱む声にの目が笑う。
「どいてよ。帯が崩れちゃう」
「うおっ、す、すいませんっ!」
 重石が退くとは立ち上がった。膝立ちでいる銀時を、踏みつけそうな間近に見下ろし
「してほしいことがあるなら言って」
「…う」

「ちゃんと言ったら、してあげるよ?」
 ふわりと急に和らいだ声は甘いアメ玉のようだった。

「なぁ?なぁ…」
 しかし猫なで声ではだめ。
「なあに?きちんと言わなくちゃ」
「だから…お前に…」
「ふぅん?なあに?」


 が薄い笑みを浮かべながら、着物の裾をつまみあげた。慎ましく閉じていた合わせ目から、中の襦袢も下着も広げた。
 芝居の幕が上がるように、持ち上げられた布地の向こうに真っ白な足があらわれる。
 呆気にとられた銀時だったが、すぐにその目は釘付けになった。ひざこぞうより少し上まで、はだけた足の、さらに上。まだ隠れている付け根の奥を、飢えて渇いた視線が射る。
 開きっぱなしにされた口から舌とよだれが垂れそうだ。かはー、かはー、と激しい息が喉の底からこみ上げた。
「ね?ちゃんと言えたら、もっといいことしてあげるのよ?」
「…いいことってなに」
「なんでも。銀ちゃんのしたいこと」
 荒い息遣いは止まらない。その手は気づけばを見ながら自分のものを握りしめていた。
「なーんだ。自分で勝手にしちゃうの?」
 ぶるぶる必死に首を振った。
 違う。
「ん?」
「そこ…」
 か細い声をは待ってくれた。
「そこに、手ぇついて…ください」
「ふふ、また敬語。変な銀ちゃん」
 そのくせ要求には遠慮がない。そこに手と足をついてください。犬のように四つんばいになって、こちらに尻を向けてください。
 が言われた通りにするとその背にいきなり覆いかぶさった。

「いい?なぁ、してもいい?な?いいよな?」
 手当たり次第に尻をまさぐり、着物が着崩れてしまわないよう用心深く裾だけめくった。あらわにされた白い尻と、その下には濡れそぼる翳り。
 潤みを撫でるとも震えた。
「はふっ…」
 元の形がわからないほど、そこは温かく蕩けていた。

「なぁなぁ?」
 帯の結び目を避けるように、銀時はに身体を添わせた。硬さを取り戻しつつあるもので蜜たっぷりの入り口をこねながら。
「なぁ、ここ…、ここに突っ込みてえ…。な?言った。ちゃんと言ったろ?に挿れていい?なあ?」
 くちゅくちゅ縦になぞってやった。そうしていればそのうちから挿れて欲しがらないだろうかと、都合の良いことを実は思っている。はぷはぷと耳もしゃぶるのに、お許しがなかなか下りないのだ。
 どさくさに挿れてやろうとしたら
「こらっ!」
 と怖い声で叱られて、泣く泣く身体を引き剥がした。
「なあぁぁぁぁぁっ?」


 そうしてやっと。ようやくだ。も朦朧となりながら、それでももったいつけて、ついに。
 ふたたびむっくり勃ったその先端に、自分からそこを差し出してくれた。
 目の前でぬぷりと頭が埋まる。
 それを見てしまっては限界。
 をひと突きに思いきり刺した。
「やはんっ!」

 力いっぱい腰を打ち付ける。けれどの鳴く声よりも銀時のほうがあられもない。
「うう、すげ、あああ、あっ、あっ、あっ、あっ、」
 厚みを感じる粘膜にきゅっと搾られるのがうれしくて、だらしない声が垂れ流しになる。
「ああ、、はっ、あ、あ、いい、いいわ…」

 大丈夫、着物はきれいにめくって、触れないように汚さないようにした。余計な皺も染みもつけていない。刺繍に金摺りの長いたもとも花びらのように広げてあった。
 しゃらしゃら優雅な音を出す頭の花かんざしと合わせて、なんともそれは象徴的だ。帯より上にはなんの乱れもなく、何も知らなければその顔もただ眠そうに見えるだけのが、下では肉と肉とを繋げて汗ばんだ肌をぶつけている。

 まるで直火にあぶられたように、の手足もぐにゃりと曲がった。つなぎ目からする水音はくちゃくちゃとねばっこくなった。白く濃い汁が隙間からとろり。銀時ではなく、から染み出た粘液が、かき回されて泡立っている。


 行き止まりまで挿れた拍子にしずくがぐちゅっと飛び散った。
「あっ、あふ、う、ううんっ、あっ、だめ…、いま、こぼしたでしょ…、ばか…」
「んっ…わ、わりぃ…、じゃあ…、こう…な、」
「んひゃんっ!?やっ、やああっ!?」
「あれ…?んっ、ほら、なあ、んっ、よっ…と…ん、んぁっ」
「んんっ!いっ、いいっ、ああんっ!ばかっ!ばかっ!ああんっだめぇっ…!」
「あぁ…?」


 さっぱり意味がわからない。
 着物に垂れてしまわないよう奥まで栓をしてやったのに、すればするほどのあそこがびしょびしょに甘い汁を漏らすのだ。








リクエストありがとうございました!
S様から「銀さんを可愛く攻めて泣かせてください」でした。
途中からたぶんずっと涙目です。