さすがの歓楽街かぶき町も、やや賑わいをひそめる明け方。目抜き通りを遠く離れたこのあたりでは静けさもなおさらだ。
 周囲に建つのと似たりよったりの小さく古い木造家屋。その裏口を出てすぐの場所に若い娘らしいふたつの影があった。
 とたま。少し珍しい組み合わせだ。自分の部屋の締めきった木戸を背にしてが立っている。

「本当によろしいのでしょうか様?」
「いいのいいの。たまちゃんだってぶっつけ本番で新しい機能を使うなんて怖いでしょ?」
「ですがそのために様たちを実験台にするような真似を…」
「へーきよ。ちゃんと制御できるってたまちゃんも言ってくれたじゃない」
「それはもちろんです。前回の暴走をふまえ、源外様も装置に改良を加えられました。出力にリミットがかかっていますから、この催眠波がおふたりの記憶に干渉することはありません」
「ね?ならだいじょうぶ!そのかわり…」
 と、は静まりかえった路地裏をなぜかもじもじ見渡した。
「だ、誰にもバレたり、しないよね…?」
「はい」

「それじゃあ今から部屋に戻って中から鍵をかけるから、その1分後に決行ってことで。戸は閉じちゃってていいんだよね?」
「はい。射程内であれば催眠波は壁もすりぬけます」
 はひとまず安堵して、そしてどことなく人の悪い顔で笑った。「ふふん」
「それじゃあ打ち合わせどおりにお願い」
「かしこまりました」
 音を立てないようそっと閉じられた扉の前でたまが一礼した。
「ご協力感謝いたします様」

 からくりメイドの体内タイマーでそれからきっかり1分後。
 積み木を組んだような小さい家を、見事過たずにその一軒だけを、爆発的な光が包んだ。
 誰の目に触れる隙も無く、光の玉は一瞬で収束。後には何もなかったように寝静まる町が残された。










 誰かに名前を呼ばれた気がして銀時は薄く目を開けた。幸せなことに神経はだらだら弛緩しきっていて、頭も身体も動き出すには当分時間がかかりそう。ましてや布団を出るなんてとんでもない。
 それでもどこか妙には思った。

 理由はすぐわかった。真上から「自分」に見られているのだ。慣れて見飽きた男の顔が、口元を弛め見下ろしている。大きな鏡でも掲げてあるのか。寝ている人間の真ん前に、なんて悪趣味なイタズラだ。
「…んだよ。くだらねーことしてんじゃないよ…」
「あ。起きた?銀ちゃん起きたね?あれっ?おかしいな、に見えるの?」
「はぁァ…?」
 それなりに頭は冴えたつもりでも、まだまだ寝呆けているらしい。自分の出した声はやたらと高く、逆に鏡の中の「自分」が、小娘のような口をきいた。録音を聞かされた時のような微妙な違和感はあるものの、そちらの声こそが自分の声だ。

 部屋は薄明るく、目に映るものの輪郭がかなりぼやけていた。もっと良く見ようと目をこすりかけ、銀時は自分の両腕が動かせないことに気がついた。
 腕だけではない、腹もずっしり。重たいものに押さえつけられている。
「へ…?」
 代わりに何度もせわしなく、ぱちくり細かくまばたきをした。


 目の前にあるのは鏡ではなかった。「銀時」の姿をした何者か。それが銀時の腹へまたがり、左右の腕を押さえているのだ。
「こんどこそ目が覚めた?ね、何が見える?」
「………俺」
「やった!成功!」
 眠たそうな目がへらりと笑う。銀時そっくりな天パのおっさんは、手元に用意してあったらしい手鏡をとって突き出した。
「はい、これが鏡。見てごらん」

 鏡に映ったのはこれも見慣れた顔。くりくり丸い目をした「」が、その目をもっと丸くしている。もう一度ぱちくりまばたきをすると、自分がしたのと全く同じタイミングで「」が目をしばたたかせた。
「へ………?」
 自由になった手で顔を確かめる。それもそのまま鏡に映った。手のひらでぴたぴた頬を包むと、手に触れる肌も頬に触れる指も、剥きたてゆでたまごのようにぷるんぷるん。
「え…?なにこれ。だ、だからつまり…?えっ?どういう…」
 上に居るのが「銀さん」なのに、銀さん自身は下に寝ていて、鏡を見ると「」の顔をしていて、そして上に居る「銀さん」が、まるでのような口をきいて、だから…。

 「銀さん」がで、「」が銀さん?
 ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!

 本当は口をぱくぱくしただけで声などとても出なかったのだが。





「びっくりした?うふふだいせいこう〜!」
「お、おま、何を、なんで、いや、おい、むがっ?!」
 「銀時」の声で言うその口調は不気味なおネェ言葉にしか聞こえない。せめてそれだけどうにかしようとして、けれども口をきく前に頭ごと抱えて唇をふさがれた。
 強引に舌が割り込んで「」の口内を貪った。水気をたっぷり含んだ唇が口元をよだれまみれにした。口づけは唇から口の端、そして頬へ。さらにはまぶたの上へ。目測を誤りでもしたように、顔中へ雨のように降りそそぐ。
 時々ちらちら「銀時」の愉しそうな目と目が合った。自分はいつもこんなニヤケづらをに見られているのかと思うと、穴を掘って消えてしまいたくなった。

「あぁっ?おいっ?ちょ、まっ…、待てっておい!」
「ん?抵抗する?いいよ。むだだとおもうけど」
 大きな手のひらが「」を撫でまわし、首から肩へとさする動きがそのまま浴衣を脱がしていく。あらわになった白い肌へ「銀時」は迷わず頬を寄せた。はぁはぁと息を恥ずかしく荒げて、もどかしそうに密着する。
 股間へ無理矢理割り込んだひざが恥骨をぐりぐり押していた。
「痛い痛い!お前もーちょっと加減しろ!」
「ふあ…うん…ごめん…」
 そうは言ったものの聞こえているのやら。「銀時」は全力で「」を抱きすくめてどこにも逃げられなくしてから、思う存分舐めまわした。
「…うぷっ。だめだこりゃ」

 いつだったか。天人のクスリの効能で、こうして身体を替わったことがある。
 どうやらあれが、はえらく気に入ってしまったようなのだ。
 男になることが…ではない。たぶん。
 いつもとは比較にならない力で人を好きにできてしまうことが、だ。
 銀さんに言えたことではないが、危ない性癖があるんじゃなかろーか。


「うひゃっ?!」
 痕のつきそうな力強さで乳房をわしづかみにされて、そんな物思いも半端に終わった。
 驚いてとっさに出た声を「銀時」はとてもよろこんで、もっとぐにぐに揉みしだく。
「お、おまえね、おまえ…、前も思ったけど、てめーのチチなんざ揉んでうれしいわけ?」
「ううん。おっぱいは別にどーでもいい…。やーらかくってきらいじゃないけど」
 谷間へ鼻面を埋めて頬ずり。「」の身体はびくりと震えた。
「えへ。そう、これこれ。銀ちゃんが、こうやってびくびくするのが好きなの…」
 「」の丸みを枕代わりに「銀時」の頭が横になる。柔らかな肉をぎゅっと搾るように、頂点を引き寄せ口に含んだ。「銀時」は赤子のするようにちゅぱちゅぱ乳首を吸い続けた。
「あっ、ちょ、わ、わかっ、わかった、わかった、んんっ、あのなぁ…っ!」
「ひひ、んひひひ、こう?こうするときもちいい?きもちいいの?」
「おっさんかお前はぁぁぁ?!」

 どこへ触れるにも全力で、加減のわかっていそうにないが銀時はとにかく怖かった。下手に逆らえば痛くされそう。当たり所がまずければ、「」のヤワな身体などぽっきりいってしまう。
 ひとまず好きにさせてやるしかない。それに、こうなった事情だけは知っておきたかった。
「な、な?おせて?これどーいうこと?どんなからくりになってんの?んっ、それ、そそ、そ、それだけ、教え…んんっ」
 銀のくせ毛に臍をくすぐられた。まくりあげられ剥きだしにされた下腹部を唇が這ってゆく。茂みを行き過ぎ、さらにその先。腿の内側へのキスに目が回る。
「ああああっ!やめっ!足!足!開かせんじゃねぇぇ!」
 ぱっくり大股開きにされるのがこんなにも恥ずかしいものだとは。


 けれど寝起きのせいなのか、それともが性急過ぎて上手にできていないせいなのか。前にこうしてされた時の快感にはほど遠いような気がする。
 じかに触れられれば震えは走るし、撫でまわされれば心地よくはある。
 だが、何もかもどうでもよくなるような、頭の芯を蕩かされるような夢見心地にはとても足りない。頭の隅はずっと冷静で、がむしゃらに食いついてくる「銀時」の力をやんわり受け流しながら、機嫌をとりつつ聞き出すこともできた。
「で、で?今度はコレなに?またクスリか?」
「んぷ、ううん、違う…」
 逆に「銀時」が恍惚として、むっちりの太ももをしゃぶりながら、股の間をもう硬くしている。
「早い早い早い早い!おったてんの早ぇよ!風が吹いてもびんびんの思春期か!銀さんの身体じゃねーだろそれ!」
 ぐいと腕から引っぱり上げて、「」は「銀時」を抱きしめてしまった。こうしていればそうそういきなり犯されることはないだろう。早くも熱く腫れているモノはそっと包んでなだめてやる。既に手のひらには余るほど、布地の中は大きかった。

 軽く揉んだだけで「銀時」の頭はそれしか考えられなくなったようだ。
「ん…?は…、なに…?えっと…、なんだっけ…」
「だから、説明!これどーなってんの」
「あぁ、そうそう…。う、銀ちゃん、それ、もっと…」
 はいはいと力をこめてやった。「」の手をめがけ腰がへこへこ前後するのが情けない。
「んと…、これはね、たまちゃんのさいみんじつ…」
「たまァ?」
「んー…」
 肩口に顔が突っ伏される。仔猫の匂い付けのように、甘えてこすりつけられる頭を「よしよしイイコ」と撫でてやった。
「で?」
「あいつに、対抗できるようにって…、たまちゃんにも洗脳機能がついたのね…、それでと銀ちゃんで…ためしに実験…てゆーか…」
「そりゃどういう…」
 むちゅっと唇を奪われた。口の中をうっとり味わう「銀時」をしばらく待たなくてはいけなかった。


「え?催眠術?洗脳つった?」
「そう…」
「てことはなにこれ?つまり?おめーが銀さんに…え?つーことは、もしかして…?」
「は…、銀ちゃん…銀ちゃん、銀ちゃん…」
 「銀時」は完全に溺れてしまってろくな返事が返らない。無言でひざまで下穿きをずらし、そそり勃つものを露出させた。
「とにかく、挿れよう…?話はしながらするから、ね?いいよね…?」
 「」のまたぐらへ身体をねじこみ、左右の膝を開こうとつかむ。

 だが、その手を「」が上から止めた。



「…?」
 朦朧と溶けていた目が冷めて、やがて「銀時」が「」のささやかな…そして無駄な抵抗を鼻で嘲笑った。
「もー銀ちゃんたら。おーじょーぎわがぁ…」
 ところがどうしても膝は開けない。「」にしっかりつかまれた腕は、「銀時」がどんなに力をこめても振り払うことができなかった。
 ん、んっ、と何度目かの挑戦にやはり失敗した「銀時」が不安まじりに「」を見下ろす。
 下から不敵な笑みが返った。
「いつからと錯覚していた?」
「……………はい?」


 がタネ明かしした通り。これが洗脳、催眠であるなら、今見えている互いの姿は、互いの脳内だけに結ばれた、言うなれば「偽の映像」ということだ。
 「視覚」はとても大きな情報なので身体が騙されてしまうところだった。真の姿は今も「」は。「銀さん」は銀さんで変わりない。
 だったら銀さんに力で勝ることが、にできるわけないじゃないか。


「え…?ちょ、待って?銀ちゃ…あ、いっ…?」
 手首をつかむ力が増して、じりじり膝から離される。力比べにあえなく敗れて「銀時」の両手はもはやされるがまま。頭の横で動けなくされた。
 見えない壁へ磔にされたように。
「………え?」
 終始ニヤついていた口がひきつった。
 今度は「」が、笑う番。にたぁりと唇が吊り上がる。
「はぁい交代〜」
「きゃあっ?!えっ?ええっ?な、なにっ?」
 一気に引き寄せすっ転がして、倒れた腹へ馬乗りに。「」が「銀時」をまたいで組み伏せ、初めと上下を取り替えた。思う通りに動いた身体に、自然と「」の顔はほくそ笑む。

「え…?な、なんで?なんで?なんで?どゆこと?」
「ああん?なんだおめーまだわかってねぇの?」
 「」が腹の上で腕を組み、「銀時」を余裕しゃくしゃく見下ろした。鼻の穴はひろがり口の歪んだ…世にも憎たらしい顔だった。
 いまいち理解はできていなくとも、本能的に窮地を察したのだろう。「銀時」の目があたふた泳ぐ。
「いや、ち、ちが、違くて、えっ?違う、違う…、は…、そんなんじゃなくて…」
 けれど必死にもがくのに、さっきまでならなんなくあしらえた「」の身体がびくともしないのだ。

 自分がたった今されたように、「」は「銀時」の唇を奪った。あごから首へ線を描くように湿り気たっぷりの唇を這わす。
 喉を吸われて「銀時」があえいだ。
「ああっ?あっ、あんっ、あひっ…?い、いや、あっ、ああ、んっ?!」
「ほーらいつものトコ気持ちいい。わかんねぇ?だからァ、今もおめーの身体は、ホントはのまんまなんでぇ〜す」
 気色の悪い猫撫で声。
 つつつと指も伝わせると
「やあぁっ?」
 思ったとおり感度は良好。「銀時」がびくりと大きくはねた。


 「」は身体を軽くひねると、とても幻とは思えない確かな手ごたえを握りしめた。情けなく丸出しの下半身から、それは天を向き屹立している。形も色も銀時の分身に間違いない。
 実際にはこれがなんなのか、どこにどう触れて弄っているのか、深く追求しないこと。
「あーあ?なにコレ?どーいうコト?」
 握りしめた輪を根元へ向かってぐいぐい強く押し込んだ。目論見が外れ口惜しそうに、だがその手に合わせ「銀時」の腰が浮く。
「は、は、ああっ、だめ、だめ、違う、ち、ちがうっ」
「ん?違う?ナニが?」
「こ、こんな、つもりじゃ…」
「だけどこんなになっちまってんよ?このままほったらかしていいの?」
「んんんんんっ…!」
 横たわる顔は苦しそうに切なそうに、眉を寄せ「」を見つめている。驚いたことにその目にはうっすらと涙も光って見えた。

 痛々しくも勃起したものから「」は手を離し、代わりに撫でた。裏筋をくすぐり、先端をつついた。
 きつく唇を噛みしめていても、もう一度握ればうわずった声が出た。
「ひっ…!ん、んんっ、ひぅっ…!」
「そんで?ここからどーすんの?」
 顔と股間をわざとらしく交互に見ながら訊いてやる。一度はぐっと息を飲んだが、「銀時」は次のひと搾りで墜ちた。
「あああっ!あ、ああ、それ、もっと、もっ…うっ、う、ううっ、うっ」
「ん〜?」
「い、いきそう、いく、いくいく、イキたい、お、おねがいしますぅっ…」



 分厚い身体をまたいだまま、「」はずるずると後ずさった。「銀時」の腿より少し後ろ、それまで腰をひねって見ていた勃起がまっすぐ見られるように。
 あどけない顔が股間へ近寄り、暴力的な肉塊に目を細める。
 腰に手をあて「んんんんん…」と。「」はずいぶん悩んでいたが。
「う〜ん、つってもこりゃのあそこなわけでー、銀さんのアレってわけじゃねーしぃ…う〜ん、でもなァ、う〜ん、うーんんんん…」
 やがて意を決し、頭を伏せる。
 「」がそれをぱくんと口に含んでいた。

「………っ?!」
 敏感な場所から広がって身体を飲み込む深い快感。「銀時」がすっと目を霞ませた。
 一方堅く目をつぶり、苦そうにしゃぶっていた「」にも、次第に芯から痺れが訪れる。男のモノを舐めているという感覚は限りなく薄まって、口の中では舌を使うこともできた。
 先から滲む汁の風味は確かに良く知る蜜のもの、鼻をくすぐる甘い匂いものものだったことが大きい。
「ああっ、こっ、こらぁっ!だめっ!だ、だめ、だめだめぇっ」
 髪振り乱し身をよじる「自分」を一瞬かわいいとすら思う。
 の口真似でもしてみようか。
「ん?ここ?ここがいいの?銀ちゃん?」
 指で作った輪をきゅっと絞めると残りを入るだけ口に入れた。中で肉棒に浮いた血管がぴくぴく痙攣するのがわかった。
「あ、ああ、あ、あっ!ああっ!もうっ、もぉぉっ!あああっ!」
 びくびくびくと高く跳ねた腰に、合わせて強く吸い上げた瞬間。のどの手前に何かがしぶいた。
「うぶっ!?」

 口いっぱいに出た液体ごと「」は「銀時」を吐き出した。手で覆いもせずげほげほすれば、口から鼻から水気が飛び散る。「銀時」のモノはまだびゅくびゅくと勢いよく小さな弧を描き、透明なものを噴いていた。
「な、なんだ?潮でも吹いたんか?」
 顔をぬぐい、布団を濡らしたものをぬぐい、濡れた手のひらをぽかんと眺めた。



 「」もまた熱い。鈍く疼く。ほとんど袖が通っているだけの浴衣を脱いで、もう一度それで顔を拭くと、一糸まとわぬ足を広げてひみつの部分を確かめてみる。
「おお…」
 ちゃんと女の形をして、そこはほっくり温まっている。指を1本突っ込んでみると濡れてほぐれた割れ目の内へ問題もなく飲み込まれた。
 繰り返す、深く追及しないこと。

「銀ちゃん…」
 ぐったり横たわっていた「銀時」が渇いた目をして訴える。
「足りない…」
「え。まじで」
 ほんの少し目を離した隙に、それはむくむくと力を取り戻していた。

 ごくりと「」は唾を飲んだ。布団へついていた膝を起こし、足の裏をつけしゃがみ直した。このほうが動きに微調整がきく。
 両足もぱっくり「銀時」に奥まで見えるように開いて、上を指す勃起に触れるか触れないか、ぎりぎり寸前へ近づけて止めた。
「う…?銀ちゃん…?」
「ん?」
 「銀時」と目を合わせ視線を誘い、それからわずかに腰を下ろす。膣の入り口に先端をぴたりとあてがい、「」の身体はまた止まった。
 肉の熱さに触れた感触が「」の粘膜にもはっきり伝わる。期待に胸がかきむしられる。

 けれども「」の銀時は、「銀時」のにわざわざ訊ねた。
「そんで?」
「い、言うと思ったぁ…、うう、うっ、い、いじわる…っ」
「あっそ、いいよ?そんじゃ自分でしよーっと。がいつもするみたいに指でがまんしよ〜っと」
「んなことするかぁぁぁぁぁっ!」


「はぁい『銀ちゃん』、ちゃんと『銀ちゃん』ぽくおねだりして。しなきゃずーっとこのままだよっ?」
 きゃは、ともう一度の真似。小憎たらしい笑い声などよりらしかったと思う。にたにたニヤけた目で促すと、「銀時」はしばらくの間でたらめに髪をかきむしり、やはりこちらも銀時を真似て言った。
「…てぇ」
「なあに?聞こえないよう?」
「挿れてぇ。…に」
「ん?もーいちどっ」
のまんこにチンポ突っ込んでずぼずぼやりてぇ!いいからさっさと挿れろっつーのォ!」
「ぶははっ!上出来!おめーもやるねぇ」

 頭を抱えてしまった「銀時」に見せつけられないのが残念。「」はゆっくりと腰を下ろした。狭い入り口は巨大な勃起を先端からなんなくくわえこんだ。
「ふ、ぁ…、くぅっ…」
 腰を這い上る、粘ついた悪寒。くんと反らせた白い喉から「」も艶めかしい息を吐いた。

 けれどもすぐに身体は離れた。ぬぷっと追い出された「銀時」の頭が濡れて輝いている。
 またくびれまで、挿れて、抜く。
 挿れて、抜いて、を繰り返す。
「あぁぁぁぁぁぁっ…」
 反り返る「銀時」の口元からよだれがとろとろ耳へ垂れた。挿入のたびに腰は跳ね、はずみで強く「」を突き上げた。
「うぉっ?」
 悪くない。
「へへ…もっとしてみ、それ、もっと」
「ふわ…、あぁ、こ、こうっ?」
 勢い良く、ぐいっ!と串刺しに。
「ふへ、へっ、へへへっ、それいーわァ…」

 「」も両足を踏ん張って身体を上下させはじめた。腰を浮かせては「銀時」に落とす、リズムよく弾み、ぶつけるように。少し持ち上げては落としてぶつける。
 ふたりの小刻みな声が混ざりあった。
「はっ、はァ、はァ、はァ…、はっ、はァ…」
「あひっ、ああ、それ、じんじん、する、ずしん、て、きちゃう、んんっ、んんっ!」


「なぁ…?なんでお前、こんなバカなマネしてんの」
「はっ…、は…?あ…、なに?だって、だって…」
「おーこわ、力づくで女ァ犯ろうとか…」
「んんっ、ち、ちがう…、ちがうよう…」
「ん?何、がっ?」
 高く腰を浮かせ身体ごと落ちる。全体重を乗せた衝撃に「銀時」がひゃん!とひと声鳴いた。
「ちが、はぁ、銀ちゃんを、いじめるのが、好き、なのぉ…」
「………」
 「」が俯いたのを知ってか知らずか、「銀時」はとろんと声を垂れ流す。
「銀ちゃんかわ、か、かわわ、かわいいも…、あっ、あああっ?!やっ?いやっ!だめだめだめぇっ!」
 スピードを上げて威力も増してぐいぐい尻をぶつけてやるとよけーなことは言わなくなった。





 いつしかべったり身体を倒し、「銀時」を抱いてやっていたはず。
「銀ちゃん、銀ちゃん…」
 耳元で甲高く甘い声がした。にねだられべっとりと舌をしゃぶりあうキスをしてやった。下も深々繋げあったまま、目と目も幾度もからませあった。
「いっぺんイって楽になった?今度はずいぶん長ぇじゃねーの」
 気づけば自分の出す声もすっかり低く戻っていた。
 前後上下する視界は変わらず、位置を替わった覚えも無い。思うまま腰も動かしながら、しかしさっきまで自分を内側から圧迫していた存在感は消え、今では自分が、包まれている。
「ん?」
 銀時はを抱きすくめ、たよりなくからみつく足を、腰に巻きつかせてやっていた。
「…あり」

 …ふたりとも元に戻ってしまっている。
 洗脳とやらが解けてしまったらしい?
「おいおい使えんのかこの機能」

 だがそれよりも今はこっち。気にせず銀時は動き続けた。胸を舐め腰を前後させ、欲張ってどちらも責めたててやると、も愛らしくていやらしい声を出した。
 下腹の底はむずがゆく膨れて、溜まりに溜まったどろどろの白濁でいつでも破裂しそうだった。
 もったいないのでそれが治まるまでしばらく休むことにする。
 ちゅ、ちゅ、との肌をついばみ、弾む双丘に突っ伏して止まった。

「は…、そーだ、これ。次は銀さんに使わせてくんね?」
「これ…?」
「洗脳」
 少し考えれば面白い使い道が他にいくらでもあるだろーに。
 なんで銀さんに声をかけない。


 ふわふわ視線をさまよわせながら、けれどもは、そこだけはきっぱり言いきった。
「ぜったいにだめ」
「なんでだよ!」








リクエストありがとうございました!
K様から「いつかの入れ替わり裏をもう一度」でした。
どっちがどっちでどっちだか…?