これは夢だとすぐにわかった。
端の見えないおおきなベッド。視界はせまくぼんやりかすんで、今いるここがどこともしれない。
それになにより、この人が。
こんなところにいるはずないから。
横たわる自分の足の先、天井を指す爪の向こうにを見下ろす冷たい目がある。ざんばら髪のその人は、汚れた包帯に覆われていない右目ひとつでこちらを睨んでいた。
言葉はなにもかけてもらえない。
代わりにの頭の上から、もうひとり別の声がした。
どういうわけか笑い含みの、こちらは聞き慣れた声だった。
「どうよ珍しい顔だろ?そこでばったり会ってさァ。おめーにどうしてもひと目会いたいっつーからァ?」
「言ってねぇよ」
ぶっきらぼうなその人の声をは懐かしく聞いた。言葉づらとはうらはらに鋭さがなりをひそめているのは、旧友に対する気安さだろうか。
銀ちゃんはともだちだからよくても、がいつまでもその人を前に寝たままいるのは失礼だ。
そう思って身体を起こそうとしたのだが、はぴくとも動けなかった。
「あ…れぇ…?」
白く整った敷布の上での横たわる部分だけ、そこだけが不快に濡れていた。滲みでた脂汗が冷えて全身の熱を奪っていくのに、内から身体はぽかぽかと火照り、奇妙な汗がなおも止まらない。
それを不思議に思ったとたん、深い谷底へ落とされたようなけだるさにもは囚われた。
端へ離れるほど力は抜けて、両手両足はベッドの上でだらりと投げ出されてしまっている。強く意識しないと動かすどころか、指の存在を自覚することもできない。
そのくせ身体の「内側」はの心と関わりなく、これでもかというほどその存在を大きな声でうったえてくる。
特に下腹部。ふっくら丸みを帯びた腹から、肉を突き抜け中へ潜ると、そこにはとくべつな器官が在る。栄養分を消化する内臓たちとは違うのに、その器官は今おそろしいほどの飢えを身体中に訴えていた。
力なく開いた股の奥、「それ」に繋がる通路の入り口ははしたなくよだれを垂れ流している。口から出るよりとろみの濃い液は、玉のしずくを下の毛にからませ、割れ目を伝いこぼれていた。
短いリズムで胸は上下し、喉から苦しげな息が漏れる。は、は、は、は、と荒い息の下で頭に浮かぶ言葉は限られ、徐々に思考も単純になった。
の頭に浮かぶのは、「熱い」と「怖い」
それともうひとつが自然と口をついていた。
「銀ちゃん…」
逆さになった下衆な笑いがを真上から眺めていた。頭を支えてくれているものにそのときはようやく気づく。
たくましいひざまくらだった。
「そろそろ苦しくなってきた?」
「くるしい…、息できない…じんじんする…」
うなずきながらかなしくなった。へんなの。こんなにが苦しいのに、銀ちゃんはどうしてうれしそうなんだろう。
涙の浮かんだ目で見上げると、即座に優しく手が伸びる。
の大好きな、大きな手のひらは、包むように頬を撫でてくれたのだが。
「あっ?あ、あ、あ、ああああ…っ?!」
その瞬間にの背骨を激しい電流が駆け抜けた。触れられたのはほっぺたなのに、そこから脳の芯へ、身体の芯へ、瞬時にめくるめく快感が走り、まるで死に瀕したケモノのようにの身体は何度も跳ねた。
「おおお!すっげ!よーく効いてんなァ。なに?今の良かった?そんなにすごかった?」
「ふぁ、あ、銀ちゃん…?なに…?なにこれ…?…へん、おかしい、おかしいの!」
「うんうん。そーかそーか」
「ひっ…!?」
頭を撫でられ、身体がまた跳ねる。
のどをくすぐられて、跳ねないわけがない。
「ん、んんんっんんっ!?だめぇ、さ、さわっちゃ、だ、だめぇぇぇ…っ!」
続けざまに高みへもって行かれた余韻はいつまでも治まらず、身体をめぐった感覚を頭は反芻し続ける。
ぞっとするほど強引だったのに、はもうそれしか考えられなくなってしまった。
「銀ちゃん、銀ちゃん、ぎゅって、ぎゅってして」
の求めにすぐ応じてくしゃくしゃ頭が降りてくる。ゆっくり前へ屈んだ身体が望みどおりに抱きしめてくれた。分厚い胸板で顔を覆うように、息もできないほどぎゅーっと強く。
けれども胸を騒がせるそれまでの苦しさとは違って、その苦痛はを安らげるもの。もっともっととおねだりする。
「むぐぐ、銀ちゃん、あっち。あっちいこ」
あの人の目のない場所に。冷たい視線のない場所へいって、うずく身体をもっとさわって。
ところがそちらは叶わなかった。とつぜん視界がひらけたかと思うと、身体は引き起こされてしまう。ぐにゃぐにゃと定まらない上半身は後ろからしっかりと抱き支えられていた。
「やぁ…、やだぁ…」
すぐ目の前にはあの人が座っている。白いさらしの肌着一枚しか身につけていないのそば。
はだけた胸元にのぞくふくらみをその人はきっと「生意気」とわらう。
付け根まであらわになった太ももは「しまりがない」とばかにされるだろう。
「うぅ、やっ、見ないで」
せいいっぱいの力をこめて、もぞもぞ動くが逃げられない。それどころか男に見せつけるように、うるさい両手も後ろへひねられた。
「やだ、やだ、銀ちゃん、やめて、離して」
もがく首筋を強く吸われた。
「ひひゃうっ?!」
おかしな声が出てしまう。
甘さのかけらもなく乱暴に胸をわしづかみにされても身悶えた。
「ふぁ、ああ、やめ、やめて、はなして、はなして」
「もぉ、なにそれぇ?『もっと』っつったり『やめて』っつったりぃ」
「うぅぅぅぅ…」
涙まじりにうなるに、愉しげな声はささやいた。
「そーだ、あすこにいるおにーさんにもちゅーしてくださいってお願いしてみな」
「へ…?」
何を言われたのかしばらくわからず、は思わずその人の顔をまともに見てしまった。
かちあった視線に身体がすくみ、火照りも一瞬忘れてしまう。
怖ろしかったわけではない、その目はのはしたなさをまるで咎めるようだったのだ。
叱りつけられたよりもしおしおと萎れてが肩を落とした。
「そんなの…むり…。してもらえるわけないよう…」
「あっそ。じゃあ銀さんももうやーめた」
そうは言いながら背後からにぴたりと頬ずりをして
「あれ?つーかさ、なに?その言い方だと、ちゅーされんのはイヤじゃねーんだ?」
「え」
震えた身体を面白そうに、耳元の声はをなぶった。
「してくれるもんならあの野郎ともしてみてぇとは思ってんだ?」
ぶるぶる、ぶるぶる、言葉が出なくては必死に首を振る。いつもどおりに小賢しく理屈の回る頭であれば、もう少しましな言い訳もできたろうに。
「そーかそーか。だったら銀さんが、もっとおねだりしやすくしてやろうな?」
の鼻先へかざされた指は、小指の半分よりは大きな、銃弾に似た薬剤をつまんでいた。むきだしになった薬の表面は指から伝わる体温で溶けてわずかにべたついている。
うんしょ、うんしょとふざけた掛け声とともに、肌着の裾がかきわけられた。
「よしよしちゃん、あんよひらいて〜?おくすりもうひとつ飲みますよう〜?」
「やんっ!う、ううっ、だめぇ…さわんないでぇ…」
「ひひっ」
内ももをそっと撫でられただけで爪先までひくつかせるを、指まで嘲笑っているかのよう。翳りの奥をなんなくかきわけ、指よりずっと硬いものを濡れた入り口へ挿入した。
「あひっ!あっ!あああんっ!」
「もーお前ちょっとイキ過ぎだろ。こんな小せぇので気ぃやってんじゃないの。もーちょっとがまんをしなさいがまん」
薬のお尻を人差し指が押す。ある程度まで中へ入ると、その先はがうごめいて勝手に奥へと飲み込んだ。
それからいくらも経たないうちだ。
かすかに感じていた異物感が溶けてなくなったのが合図だった。
比較にならない深さからの全身は突き上げられた。
「?!!」
うんと背筋がのけぞって、後ろ頭をぶつけそうになる。なにもない天井のほうを向いて、目は大きく、口はだらしなく開き、空気を求めひくひくと胸だけが懸命に働いた。
「あ、ああ、あ…、あああ…」
上からも下からもよだれがしたたり、薬を飲まされた当のその場所は、狂おしいほどひりついて痛みすら覚えるほどだった。
「うーん、もういっちょいっとくか」
無情な手がさらに一粒を真っ赤に腫れた肉襞へ埋めた。
「やあぁぁぁあっ…!」
でたらめに頭を振り回し、乱れた髪が自分の頬をうつ。ろれつのまわらない口が勝手にぺらぺらしゃべりだす。
「銀しゃん、銀ひゃん…、ちゅう。ちゅーひて、ちゅう」
「だーめ」
と返事はそっけない。
「あっちのおにーさんにしてもらいな。上手におねだりできる?できるよな?なーに怖がるこたねーよ。あれで案外優しいコだからぁ、こんなにかわいそーなを助けてくれないわけがねぇって。なァ?」
「クソが」
「ああん?なんだコラ文句あんのか」
話す相手が代わるたび、声は遠くなり近くなる。
「いいんだよな〜?は銀さんにこうされんのが大好きだもんな?」
うなずいたのも反射のようなもの。
あの人は今も目の前にいるのに、ちゃぷちゃぷと耳たぶをしゃぶられてよがることにも躊躇はもうなかった。
「あぃ…きもちぃ、それ、すき、、すきぃ」
べとべとにされてしまった耳が、いたずらっぽく弾む声を聞いたような気もする。
「よーし。だったら、あっちのにーちゃんを良くしてやろうか」
「うぅ…、うん?」
うん?
ぽやんと蕩けてしまった頭も。鎮まるどころかいよいよ火照る一方の身体も。
なにもかもが直後にふっとんだ。
「え?」
の股間からにょっきりと、鮮やかな桃色の肉棒が生えていた。
「ふわあああああああっ??!ええええええええええ?なにっ?なにこれぇぇぇぇぇぇっ?!」
つるんと余計なしわのない、すべすべとした幼いものがぴんと生意気に勃起している。
思わず飛び上がるの後ろでも、ほとんど同時に笑い声が弾けた。
「ぎゃはは!キャワイイ!なにこれ?赤ちゃん?!」
「は?はぇっ?なに?なに、これ、あわっ…?ふにゃああ?!」
事態を理解する隙もなく、後ろからぎゅうっと握られてはまた腰からくだけてしまった。今度のは「力が抜けた」というより、「入らない」と言うのがより正しい。生まれたての小鹿か何かのように、そこを掴まれると手も足もたちどころに崩れ落ちてしまうのだった。
「あ、あふ、なに?なに?なに、これ、なに…」
「いいんじゃねーの?夢だもん」
の肩口にあごを乗せ、しげしげとそれを見つめながら、握りしめた手は上下した。「いっしょうけんめい」といった風情で、それは限界からもうひとまわり、さらに膨れて硬くなった。
その根元には普通ならぶらさがっているはずの袋がない。代わりにいつもよりぷっくりと大きく腫れた縦襞があって、それをかきわけるととろっとろに蕩けた女の穴がある。敷布に垂れて吸いきれなくて水溜りになるほどの愛液がとめどなくこぼれ続けていた。
自分の流したとろみがすくわれ、棹へたっぷりまぶされる。潤滑油を受けそれまでよりも強く激しくしごかれて、いたいけな肉棒は痛々しいほど薄そうな皮を突っ張った。
後ろからすっぽり身体を包まれ、敏感な場所を文字通り握られ、休みなく与えられる刺激にはそのうち心も折られてぐったり身体を預けていた。
「なに?イイのコレ?ここ握られると気持ちいーの?こう?」
「うん、うん、きもちいい、きもちいいよう…」
「挿れたらもっとイイと思わねぇ?」
「う…」
「それに…」
ここ。
と、中指がぬるりとしのび入り、光の失せていた目も見開かれる。
「あう、う、ううう」
「言う通りにしたら、ここには銀さんがもっとイイモン挿れてやるよ?な?」
「は、あ…あぅ、う…う…でも…」
それでも言い澱んでいると、悪い魔法使いはささやいた。
「アイツに挿れて中出しするまでのちんぽは消えませーん。いつまでもそのちっせーモン、生やしたまんまいるつもり?」
角度だけは立派にそそり立ったそれの裏筋をつつつと指がなぞった。
「あひっ、ん、しないで、だめだめ、そこ、だめっ!」
「だったらほらぁ、ちゃあぁ〜ん?」
背中を押されては倒れた。つまらなそうに自分を見下ろす男の足元へ這いつくばっていた。その背へ重たい体がかぶさる。
熱に浮かされた目を上げると間近に彼の爪先がある。細く骨ばったそれぞれの指には小さくちびた爪が生えていた。
は男にぬかずくと、塵で汚れた足へ口づけた。不揃いな爪を慰めるように、指の股までていねいにしゃぶった。
「こらこらちげーよォ、銀さんはァ、野郎にご奉仕しろとは言ってねーし」
ゆらゆら物欲しげに揺れる尻をぺたぺた叩いて笑われた。
「薬ももひとつ挿れとくか」
膣穴に生温い硬さがみたび。埋め込まれるとほどなくしては悲鳴を上げ転がった。
「な?銀さんの言う通りにしな。そのまんまじゃあ頭おかしくなっちゃうよ?」
「あ、あたまなんか…」
「ん?」
「あたまなんかもう、とっくにおかしくなってるよう…」
股間にこんなものまで生やして男の人を犯そうとゆーのだ。こんな夢を見ているの頭がおかしくなくてなんだろう。
「えええ〜?だったらなおさらだろ。なに悩んでんの夢なのにぃ〜?」
それでもはいやいやと駄々っ子のようにただ身をよじる。
「同情か?」
「え?」
それはそれまで長々とを責め続けた声とは違った。奪うようにを抱きしめると、男が唇へくらいつく。
「んっ!んんんっ!んんっ!」
冷たい舌にぞくぞくとして、たったそれだけではたてつづけに2度も3度ものたうった。そのままその人は自分の上へを乗せるように倒れてくれる。
肌着はとうに脱げてしまって、男の広く開いた胸元にの素肌がじかに触れて、それでまた何度も絶頂した。
やっぱり夢だ。
は思った。
この人がを抱いているなんて。
ふと振り向くと大事なおもちゃを取られてむっとしている誰かさんがいて、そちらはとても現実的で、は頭の隅で笑った。
とても不思議な気持ちだった。身体の一部が他人の…それも、あの人の中に在るなんて。
「つらくない?ごめん…ごめんね…?でも…」
痛みより、長い前髪をかき上げられたのが不愉快らしい。眉間に刻まれたしわが深くなった。高く片足を上げた格好も彼にはきっと苦痛だろう。
けれど手で握られていた時より、それはまんべんなく圧迫されて、そして火傷をしそうな熱さに、は気が遠くなりそうだった。
罪悪感と背徳感。自分のやましい願望も今は恥じている余裕もない。後ろから指図されながら夢中になって中をえぐる。収縮を繰り返す彼の肉壁をただただ貪るのに必死だった。
「…ガキのくせにとんだ変態だな。てめぇみてえな淫乱は女郎の中にも見たことがねぇ」
「う、ごめんなさい、ごめんなさい」
かくかくと腰を振りながら子供のようにぐずっている。
「おぎょうぎよくする、しずかにしてる、じゃましないから、やさしくするから」
あなたのいやなことはしないから。
けれども鼻で笑われた。当然だ。
やがて彼の手はの尻へ伸び、丸みへ爪を立て左右に開いた。
後ろでニヤつく男へ向けて。
「来いよ種馬」
「へっへへ。ひひーん、って?」
そんな軽口まじりに。
にまたひとりが繋がった。
「………っ!」
もう何度目かも数えきれない。が大きく背を反らせた。はずみでぐんと腰が前を突き、彼に苦しげな息をつかせた。断続的にを襲う快感。挿入された肉塊は内側からの勃起を圧して、彼の中はますます窮屈になる。
温度の低い、薄い胸板には無我夢中ですがりついた。背中を軽く撫でられたのがまるで許しをもらえたようで、最後の堰がぷつんと切れた。
少しでも感じる場所を探して自然と腰にひねりが加わる。前はひしゃげそうにきつく包まれ、中は広げられこすられて、腰骨からがくがく寒気がした。
背中へも覆いかぶさられ、うなじを、肩を、かぷかぷ噛まれた。
「あああ、いい、いいの、もう、もうっ、あああ、もうっ!んんんっ!」
「もう、何?イクの?どっちで?前?後ろ?あ、どっちも前か。ちんこのほう?まんこのほう?」
「い、いっちゃう、う、うう、出ちゃう、出ちゃうう…、ああっ、あひ、だめ、出ちゃうっ!」
「…いいよ、イっちまえ」
をそそのかす甘い声に、ぱんと頭が白くはじけた。
「んっ!ん!んっ!」
と力いっぱい、細い腰に自分をうちつける。彼ととの隙間から濃い白濁がどろどろと漏れた。
でもまだだ。自分の中へも腰を送られてのものがまたもむくむくと勃つ。
彼への遠慮も、恐怖も、畏敬も、何もかも頭から消えて、彼の頭をがむしゃらに抱いた。片目に巻かれた包帯がの手にまさぐられてほどけていく。
けれどあの人もの愛撫に応えて濃厚なキスのご褒美をくれた。
やっぱり夢だ。これは夢。
「うぉぉ…締まるぅ」
「キモチわりぃ顔近づけんじゃねぇ」
頭越しに行き交う声と声。
「はァ?うっせーよ。おめーもしっかりよがってんじゃねーか」
「フン、誰が」
「あらぁ?そんなこと言っていいのォ?」
大きく腰を動かしてやると、玉突き事故的にも動いて彼から短いうなり声がした。
「ひひひひっ」
「………てめぇ」
「けんかしちゃだめぇ…」
今にも噛みつきかけていた男の口をがふさいだ。快感に流され呆けた口はしまりがなくてよだれまみれ。彼の顔まで汚してしまった。
それからぐいと頭を上げてぎこちなく喉を反らしたに、後ろの天パが気づいて口づける。こちらはとても慣れた様子で水気をくちゅくちゅ味わいあった。
「ああ、なるほどね。そういうことね」
にやにや口元を歪ませると、ふたりのよだれのまざった唇がの向こうの男にキスした。
「うっ…」
不気味な虫を食わされたような渋い顔をされたが気にしない。
もその間に割って入る。
「んー、も、もちゅーするの」
3つの舌と唇と、そして粘膜がからみあう。
上と下とでふたりに繋がれはそのまま溶けてしまいそうだった。
「うぅぅ…けんかしないのぉ…。なかよくしなきゃだめぇ…」
「ぷっ?なんだって?」
くぐもった寝言にこぼれる失笑。
こたつで寝入ってしまったを肴に銀時が一杯飲っていた。
胸の上まで布団をかぶり、部屋の明かりがまぶしいのか、は両目をごしごしとにぎりこぶしで隠している。むにゃむにゃ聞き取れないほどの寝言がいくつか続いたあとは、健やかな寝息が聞こえてきた。
「まーたどうせくっだらねぇ夢見てんだよ。『けんかしないのぉ』ってなんだそれ。砂場かなんかで遊んでんのかね。いつまでたってもガキで困るわ」
手酌でなみなみそそいだ酒をくいとひといきに干してつぶやく。憎まれ口をたたきながら、傍らを見下ろし眺めるその顔は、もちろんだらしなくゆるみきっている。
銀時は空にした杯を、こたつの向こうへ掲げてみせた。
「なあ?」
リクエストありがとうございました!
Fさんから「相手は銀ちゃんと高杉で3P裏をお願いします!」でした。
あけましておめでとうございます。