どうしたことかその夜の銀時は、月に一、二度あるかないかの盛大な甘えっぷりだった。
 が用事をしに立てば、大きな体で後追いをする。流しで片づけをするに後ろからぎゅうっと抱きついてくる。ソファへ掛けて読書をすれば、そのひざへべったりしなだれかかる。
 太ももの、それもデリケートな合わせ目のところでふんふん鼻をひくつかされて、さすがのも持っていた本をふざけた銀髪野郎に落とした。
 膝枕ならいつものことだし、ふたりでいれば銀時の体のどこかは常にに触れている。
 しかし今夜のは様子が違った。まとう気迫と言えばいいだろうか、軽く肩に乗せた指でさえ、ねっとり貼りつくようなのだ。
「なぁなぁ」
「はいはい、ちょっとどいて。そろそろ寝る。お布団敷くよ」
 立ち上がるにやはり付いてくる。にしにし軽いのとぎしぎし重いの、床の軋む音が2種類続いて隣の和室へ移動した。
「銀ちゃんも寝るなら事務所の電気消して」
「お前も一緒に来て」
「…バカじゃないの」


 布団を敷こうとするその背にも、べったり銀時は抱きついてきた。後ろ頭をちゅうちゅう吸い、髪の中へ突っ込んだ鼻面をくんくんひっきりなしに鳴らし、顔中で、そして身体中で、貪欲にを味わおうとしていた。
 腰も思いきりすり寄せて中の硬さを主張する。アピールもいよいよ本格的だ。
 照れ隠しも半分、はでっかいコドモを叱った。
「もー、赤ちゃんじゃないんだから。銀ちゃんお口がきけないの?」

 すると異様に熱を持った指が、の髪をひとふさ耳へと掛けた。あらわれたところへ唇を寄せ、耳の形を舐めるように、
 銀時は全身全霊全力の甘いささやきをくれた。
「やりてぇな」



 きょろっとの目が空へ見開かれた。その声はずきゅーんと胸を串刺しに、それから全身を縦に貫いた。肌という肌は茹だったように赤くなる。
 銀時のほんの一声で、はたやすく墜ちてしまった。
 押入に詰まった布団の山へは頭から突っ伏していたが、そうでなければ膝はくだけてその場へ倒れてしまっていただろう。
 …おそらくそこも、とろりと濃い蜜を漏らしたはず。


 ぴと、と銀時は後ろからのほっぺたに唇を這わせた。かと思えばせわしなく頬をすりあわせる。飢えと渇きはにも伝わり、こちらが切なくなってしまうほど。
 はどこにも逃げないし、なんでもしたらいいんだよ。それを伝えたくてそっと身を任せた。

「なんなんだろな。今日はさ、銀さんおめーのこと、可愛がりたくてしょーがねぇんだけど」
 唇であごの線をなぞりつつ、手はいつの間にかの胸で遊んでいる。寝間着ごしにこりこり爪を立てられ、恥ずかしい突起がつんと形になった。やがて両手は左右の重みを、わしづかみ、持ち上げ、痛いほど潰した。
 眉間につぅっとしわが寄ったが、にはわかる。これは少しもイヤなことじゃない。

「なぁ」
 やはりふんふんと鼻声で、銀時がに甘えて求める。
「…今日はみんな帰ってこないんでしょ」
 負けないほどに甘えた声は、確かに「どうぞご自由に」という意味で間違いなかったのだが。


 ぎゃああ!?とはその直後、声のない悲鳴をあげることになった。





 ぎゃああああ?!
「えええええ?ちょ、や、それは…あの…」
 ほとんど落としたというだけの、波打ったまんまのだらしない布団へ、腰を下ろしたの目の前にオモチャ箱がぶちまけられたのだ。
 豆電球の薄明かりで暗い色のついた布団の上に、の苦手な張り型の禍々しい姿が転がっている。コードのついた球体も色とりどりにいくつもコロコロ。他にも手錠や、謎のアンプル。シートの状態で大量にあるのは一体なんの薬剤なのやら。
 を竦ませるに十分な光景ではなかろうか。
「ま、待って待って。なんかした?」
「なにが」
「だってこんな…」
 は自分でも知らないうちに銀時を怒らせてしまっていて、もしかしてこれは
「おしおきなの?」

「なに。銀さんがおめーで遊ぶのにいちいち理由が要るわけ?」
「う。それは…そうだけど…。…、そういうおもちゃ嫌い…」
「なんでもしていいって言ったじゃん」
 答えずは口をとがらせた。ひとことも言った覚えはない。


「遊びてぇな〜。銀さんと遊びてぇな〜」
 そこだけ甘えたコドモに戻り、銀時はを溺れるほどのキス責めにした。ちゅっ。ちゅちゅちゅ。ちゅううう…。
「ひ…、もう、もうっ…や…」
「なぁは銀さんに遊んでほしくねぇの」
「は…あ、あそんで、ほしい…よ?」
「だろぉ?」
 頬を包みまぶたに口づけられて、銀時の熱がにも感染った。
「はひ…」
「じゃあひとつだけ。首輪だけ。にかわいい首輪ひとつつけるだけ。そんならいいだろ?」

 ちらりとは目を走らせ、オモチャの中にそれらしいものを捜し当てた。首輪というより黒革のベルトに見えるそれ。
「う、うん、あれくらいなら…」
「よし」
 逆のまぶたも軽くついばまれ、今からされる仕打ちも忘れて、胸が甘酸っぱくなった。
 正常なはんだんりょくを奪ってから、駆け引きへ持ち込むのはずるい。



 ひんやりと、巻きついた革の冷たさにの総身は粟立った。犬にする赤い首輪より、しなやかに薄いその材質は人の肌へ張りつくためのものらしい。
 ふと見上げると思っていたより銀時の目は真剣だ。必要以上に苦しくないよう細心の注意をはらいつつ、その手はじりじり首輪を絞めていた。
「苦しくねぇ?」
「ん…」
 うなずいたものの苦しくないわけがない。のヤワな肌へ革は食い込むし、絞めれば当然喉がつかえる。息ができないことはなくとも、大きく口は開きっぱなし、荒くなる呼吸はどうしようもない。
「…どう?痛くねぇ?」


 けれどそうして訊ねてくれる銀時の声のなんと優しいこと。
 を見ていてくれる目の、なんて暖かいことだろう。

 そんなにも気遣われてしまったらも銀時の喜ぶように、できる限りのことをしたくなる。
「ん…へーき。もひとつ、きつく絞めていーよ」
 眉を寄せながら笑った顔に、銀時はぼーっと見惚れていた。ひとつ内側までベルトを絞り、留め具を穴へ差す時の顔もやたらとうれしそうだった。
 そしての首に黒いベルトが隙間なく食い込みやっと留まった。


「あ…はぁ…」
 身体がの意志と関わりなく、勝手に苦しげな息を漏らした。首輪には半端な長さの鎖が垂れて、その端は銀時の手の中にある。
「へへっ。お前銀さんのわんわんな」
「えへへ…、わんわん」
 にじむ涙をこらえて笑うと、銀時も目を見て微笑みながらの鎖を引っ張った。
「んひっ?けっ、けほっ、けほっ…」
「苦しい?」
 ぎりぎりまで締め付けられた首輪に、力が加われば当然のこと。声も出せずこくこくうなずくに、銀時は目を細めている。そしてその手にはもう一本、首に巻いたより長めのベルトが掴まれていた。
「犬が手ぇ使えんのっておかしくね?」
「う…」
 うそつき。首輪だけって言ったのに。



「う…うぁん…いた…痛いよ…うぅ…」
 首輪とおそろいの黒い革で、は両手を背中にまとめて締めあげられた。

 だがそれも本当は、泣き言ほどには痛くない。銀時の力加減は絶妙だ。の苦痛は完璧に把握されている。
 だからこそも身をゆだね、わざと苦しそうに媚びてみせた。
「ふにゅん…、苦しいよぅ…はぁ、はぁ、銀ちゃぁん…」
 ねぇ、見て見てと布団へ倒れた。腰をひねって突き出した格好は、きっといやらしくて喜ばれると思った。

「はぁ…く、苦しい…、もう…やめてぇ…」
「ん…」
 目尻に浮いた涙がすすられた。それでもイヤがってはいないことが、イヤがられてもいないことが、手に取るように互いに筒抜け。
 小刻みに肩を上下させ、が銀時の唇を求める。応えてたっぷり口づけたものの、ところが銀時はそのかたわら、その手にまだ何か握っていた。

「はいよ。じゃあこれも」
「え…?」

 の視界が暗闇にふさがれた。




「や…?やだやだ、銀ちゃん、やだ、取って!」
 首輪の時には見せることのなかった不安な顔だ。恐怖と言っても大げさではない。はがむしゃらにもがいたが、両手は奪われ呼吸は苦しい、そのうえアイマスクまでされて何も見えなくなってしまっては、まともに動けるわけもなかった。

 その枕元で銀時の声は、変わらず小躍りするようだった。
「さーてと。次はなにして遊ぼっかなー」
 ひっ!とが身体をのけぞらせた。耳元で小さなモーター音が細かなうなりを上げだしたのだ。それを聞いただけで肌にはぷつぷつ脂汗が浮いた。必死に音から遠ざかろうとしたが、あえなく鎖を引き戻されてしまう。
「げっ、けほっ、やだやだ!う、うそつきっ!しないって言ったじゃん!それイヤ、それほんとにヤなの!」
 近づく音に身をよじる。異物を内部に受け入れさせられたいつかの記憶を身体は思い出している。銀時の手には決して感じない嫌悪が下腹部をしくしく悩ませた。
「ほかのことなんでもする、なんでもするから、おもちゃやめて、おねがい、おねがい」
 風通しのよくなった足に気づいての哀願も切羽詰まったものになる。
 生の太ももへ振動が置かれ、はびくりと硬直した。


 だが振動はそれきり動かない。
「ねぇ銀ちゃん…?」
 銀時からの返事もなかった。

 銀時がどこにいるのかもには次第にわからなくなってきた。たった今まで笑ってしまうほど、ぎゅうぎゅう抱きしめてくれていたのに。
 は虚空へ懸命に訴えた。
「ね、銀ちゃん、もっと銀ちゃんとぴったりくっつくほうがいいな」
「ねぇねぇ、もっとくっつきたい。銀ちゃんも気持ちよくしてあげたい」
「ねぇ銀ちゃん…」
「ねぇったらねぇ!」
「銀ちゃんっ!?」

 がぐずぐずと鼻声になる頃、やっとふざけた返事があった。
「なんでもするって何してくれんの?」


「…え、えぇ?えーと…」
 命乞いの真剣さでは考えた。
「…その、おくちで、する…銀ちゃんの…」
「………」
 「ふうん」と気のない相槌すらない。またしても銀時は姿をくらませてしまった。嫌いでないのは知っているから、つまりの言いまわしがお気に召さないということだろう。
 ためらいながら、は露骨に言い換える。
「ええと、だから…、ふぇ、ふぇら…ちお?」

 かあっと目の裏が真っ赤になるほど恥ずかしいのをおして言ったのに、銀時はやはり無反応。せめて目が開けば、ニヤつく顔なと見えただろうに。
「ほ、ほかにも…えっと、この手、ほどいてくれたら、い、いやらしーことしてみせるよ…」
「いやらしーことってなに」
「あ…だから…。ひとりで…」
「………」
「ぎ、銀ちゃんの目の前で、いやらしく、オ、オナニーを、してみせますっ!」
「どうやって?」
「どうって、それは…」

 恥ずかしそうにうつむけば、言わずに許してもらえないかと。そんな甘えを銀時は嬉々として踏み潰してくれた。口をつぐむと顔面へぼたぼた、スイッチの入ったオモチャが降り注いだ。
「やっ、はぶぶっ、やだっやだっ、ごめんなさい!ああああん!」
 襟元ではゴム製の男根が、うぃーんうぃーんと身体をくねらせに突起を押しつけている。
「言う、言うから、ちゃんと言うからっ、やめてっ」

「銀ちゃんに、中までよく見てもらえるように、ひだひだひろげて、それから、クリトリスを、いっぱいいじって、こ、声もたくさん出しながら、イっちゃうとこまで見てもらうのっ」
「ほかには?」

「ほか、ほかには、ええと、ええと、がイク寸前で何度も止めるの。あれ、好きでしょ?銀ちゃん好きでしょ?の頭が、おかしくなるくらい、それ、銀ちゃんの気がすむまで、やるといいよ、だから…」


 耳元でしていた蚊の飛ぶような音も、くねり続けていた棒も、それを境にぴたりと止まった。
「そんじゃあお言葉に甘えよーか」
「え?」
「くわえてくれんだろ?ここまでおいで」
 頭の上のほうで声がした。

「…う、うん。する。するから、これ取って。手も」
「だぁめ。そのまんま」
「そんなの、できないよう…」
「………」
「ああああ!するする!」



 は観念して虫のように這いだした。手探りも禁じられたその格好で、聞こえた声を頼りにずるずると。
 あるところでぽてんとバランスを崩したが、それが幸い。銀時の一部らしいもので額を打った。硬く丸い骨と乾いた肌は、くるぶしだろうとアタリをつける。これをたどっていくことにしよう。
 せっかくの手がかりをなくさないよう、ぱくりと軽く噛みついた。銀時に震えが走ったのが思いもしない効果だった。
 食いついた口を少しずつずらし、ふくらはぎから太ももへさかのぼる。自分と違ってたるみのない肉は気を抜くとつるんと口から逃げる。
 頭の上から声がかけられた。笑い含みにをなぶる声だ。
「必死になって何探してんの」
「う…」
「なに?」
「…ぅ……んちん…」
「なに?」
「もうっ!」
 折れそうになる心を奮い立て、やっと付け根へはたどり着いた。


 はじめに舌が触れたのはふよふよとした袋の部分だ。舌先ではなく全面をなすりつけるように舐め上げた。すると表面の皮膚がざわざわ収縮したり弛んだり、生き物のようにかたちを変える。大きく口を開けそれを含むと、銀時の乾いた笑い声がした。
 見失っては困るのでいっときも唇を離すことはできない。自分の唾液に濡れた玉が、あごやほっぺたへ触れるのもそのまま、はゆるやかに勃ち上がった茎の根元へキスをした。強く吸いつくと肉棒が脈打つ。銀時も大きく息を逃がす。その反応に励まされ、は丁寧にしゃぶり続けた。

 張りがでてきた肉塊の輪郭を唇で伝い、先端を咥える。切れ目から早くも滲んでいた露を口の中ですくい、転がした。
「はぁ…」
 銀時の吐息に胸が熱くなった。うれしい。悦んでくれている。不自由な体をなんとか起こし、やっとそれらしい姿勢になれた。
 大切なものへ歯を立てないよう唇でぎゅぎゅうと締め付けていると、それはむくむく腫れあがり、しまいに勃起はの口には入りきらなくなってしまった。
「あ…、ぶ…」


 突然のこと。
 首ががくんと引っ張られた。首輪の鎖を引かれたのだと気がついたのはかなりしてからだ。自分にそんなものが付いていたことをは完全に忘れていたから、はずみで危うく噛んでしまうところだった。
「げっ、げほっ?!げほっ、ぐえ…」
 頭がぐらぐら揺さぶられる。鎖を引きずられているのだ。
 後ろ手にひねられていた両手が身体の下敷きにされ痛む。
 は仰向けに転がされていた。


 蛙の鳴くようなつぶれた声が出た。咳と涙と、よだれも一緒。しかし苦悶するに銀時は素知らぬ顔で口づける。乱れた髪も指で梳いてくれる。
「そんで?股おっぴろげてナニを見せてくれるって?」
「は…」
「つーかそんなもんおめーが気持ちいいだけじゃねーか。ほんとにもー」
「そ、そんなんじゃ…」
「そんなことより教えてくんない?今から銀さんがぶちこんでやっから、お前のどこに入れたらいいの」

 荒い息は次から次へと尽きない。ほとんど反射のような運動で、は言われるまま両足を思いきり広げ、膝を立てた。
「こ…これで…わかる?」
「ん〜」
 腰を浮かして前へと突き出す。きっとひどく卑猥な格好だ。しかし足りないのか足首が掴まれ、ぐんと開脚させられた。
「そ、それでわかる…?」
「ああ、よーく見えてら。あそこどろっどろ。ぱっくりお口開けちまってぇ」
 びく。
「あれ?今まんこがひくって息したけど。何が気に入ったの。ぱっくりとか言われるのがイイの?それとも…」
「あぁ…銀ちゃん…っ」

 息もたえだえ銀時を遮る。恥ずかしいのでなく、待ちきれなくて。
「銀ちゃん、銀ちゃん…」
「あとはなんだっけ。の気が狂うまで寸止めおっけー?いいねぇ、さすが銀さんの好みがわかってんじゃん」
 の入り口に先端があてがわれ、互いの水気で密着する。両足首は掴まれたままだ、支えは何も必要なかった。

 銀時がわずかに腰を進めた。その声ががらりと甘さを帯びて、それを克明に描写した。
「…わかる?」
「うん…」
「さきっぽが今、の下の口に飲み込まれるトコ…」

「おぉ…、入ったぁ…」
 ため息に似た声と同時。粘液の海へ潜るように、猛りがへ侵入してくる。その場所へ直に当てられた熱と、銀時の言葉で喚起されるイメージに、は幾重にも感じさせられる。

 しかしぬちっと粘る音がして、銀時はすぐさまぬかるみを抜け出た。
 ただでさえ甘えたの声が鼻からくぅんと抜けていく。
「あーあー、ちょーだいって追いかけてきたわ。やらしいねぇ」
「ん、んんっ、んんっ」
「もっと?」
「うん、うん、もっとぉ…」
 今度は一息に幹の半ばまで。挿入されての腰が反る。だがまたすぐに取り上げられた。
「あ、あぁ…、あ、あああっ、もぅ…」
「気が狂うまで寸止めしていいんだろ?」
「ば、ばかぁ…」

 ほんの入り口でゆっくりと先端だけを抜き差しされた。もどかしさにが腰を揺らすが、奥まで欲しいとどれほどねだっても銀時は笑うばかりだった。
「へっへへ、悪ぃけど今日は挿れたら即出ちまいそうなのよ。そんなんじゃが怒るだろぉ?銀ちゃん早ぁいってバカにすんだろ?もーさ、今日はもうここでやめっかな。なぁどう思う?」
「バカっバカっばかぁぁぁ…」

「入れて、入れて、も、もすぐイクから、銀ちゃんよりも早くイクから、ね?ね?」
「いやいやムリムリ。銀さん早ぇし。早漏だし」
「ああんっもぉっ!のが早いもん、早漏だもん、だから、お願い、、もう、ああ、もう…」
「そうなの?お前そんなに早ぇの?」
「そ、そーだよ。早いのぉ。自分さえ終わればもういいの、がイッたら銀ちゃんなんか、さっさとイってくれるほうがいいのっ」
「へぇぇぇ?」

 「しょーがねぇな」と小さく笑い、それを最後に銀時が黙り、ついに、深々と、たちは繋った。


「はぁ…っん…」
 腕輪より強く首輪より苦しく、銀時の腕に抱きすくめられる。それから息も止まるほどのキス。目隠しの視界は黒かったはずなのに、目の前は真っ白。目を開けてもたぶん何も見えない。
 の身体は銀時ではちきれそうに広げられていた。
「あっ…、あ、あはっ…、あ、あっ、あぃっ、好きぃ…」

 返事がなくとも今は平気。の胸元に顔を埋め、銀時はまるで泣き伏すようだ。目隠しをされてもには隠されたその表情がわかる。で気持ち良くなってしまったのがきまり悪くてならない顔。
 には決して見せたがらない、銀時のいちばん恥ずかしい顔。
 かわいいかわいいあの顔をこうして銀時にさせられたなら、のされた痛いことも苦しいことも、そしてもちろん恥ずかしいことも、ものの数ではないとさえ思う。


 の身体は幸せに弛緩して、布団そのもののように蕩けた。
 弛んだ入り口からもとろとろと熱い汁があふれ布団へ垂れた。
「あはっ…ほんとだぁ…銀ちゃんも、もうイっちゃったぁ…」

 気持ちが良くて笑っただけなのに、むにゅうと頬をつねられてしまったのは心外だ。





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