ちゃぶ台の上に茶色い小瓶が2つあった。
健康ドリンクよりは少し小さめ、風邪薬のアンプルくらいの大きさ。一本は封が開いていて、中身もきれいに飲み干されていた。
「これが媚薬?媚薬って惚れ薬でしょ?」
怪しい古道具屋さんで、仕事のお礼にもらったらしい。銀ちゃんはちゃぶ台にだらりと突っ伏して、だらしなくくつろいでいた。
「ちがーう。惚れ薬じゃなくて、媚薬といったらお前、ココロもカラダもイヤらしくするクスリに決まってんだろーが」
決まってるって言われても。またそういうわけのわからないモノを人に使おうとして。なんなんだあんたのその探究心。
「いやいや、だから銀さんもちょっと考えたよ。万が一お前にいきなり飲ませてさァ…」
あら。少しは考えてくれて…
「なんの効果もなかったら、期待して見てる銀さんバカみてーじゃね?」
…。ウソでもいいから「もしも毒だったら心配だ」とか言ってくんない。
「そんで銀さん自分で試してみることにしたのよ」
ふーん。それで1本空いてるのね。で?
「…………」
銀ちゃんは急に黙って目をそらした。気まずいんだろう。バカだね。エッチになるクスリなんてエロまんがの世界にしかねーよ。
がっ、と手首をきつくつかまれた。
「え?」
銀ちゃんの手は熱くて硬くてどくどくと脈打っている。見るとお顔が熱っぽい。目が充血して額から汗。
ほーら!おかしなモノ飲むから!
「大丈夫っ?具合悪いの?水持ってこようか?どうしたらいい?」
「どうしたらってそりゃ…」
銀ちゃんは、あたしの手を引き寄せて、自分の体の一部を触らせた。
「え?」
それは熱くて硬くてどくどくと脈打って。え?
「本物だった…」
え?
えぇぇぇぇぇぇ?!
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