出しっぱなしのこたつをしまい、部屋の掃除をすませたついでにタンスの衣替えも終えた。
 ただしそのどれも銀時のもの。万事屋の和室での話。
 坂を転げる石のように、勢いあまって押入れの整理整頓まで始めたは、真っ暗な下段の奥深くにさりげなく放り込まれてあった無地の紙袋を見つけた。
 紙袋なんてたいていは買い物をしてもらうものではなかろうか。店の名前も何も入らない「素」の袋というのがそもそも怪しい。中を覗くとさらに意味ありげに丸めた黒い布が押し込まれていた。
「?」
 袋を逆さにひっくり返し、は中身をぶちまけてみた。

 布地が解けて、包まれていたもろもろが現れる。「あーあーはいはい…」とは力なく肩を落とした。
 現れたのは一見ぬいぐるみかと見紛う白くふかふかした毛むくじゃらなものたち。その正体は鍋つかみに似た大きな手袋と、やはりもこもこした室内履き。頭につけられるうさぎの耳。
 そして忌々しいうさぎのしっぽ。…前に身につけ(させられ)たアレだ。
 バニーガールとは少し違ったうさぎコスプレの衣装一式。まとめて包んでいた布は、これもの着(せられ)たワンピースだった。

 その時のことが頭をよぎると脱力の上に苦笑するしかない。けれどもは、耳のついたその髪飾りをなぜか頭につけてみた。
 だってうさ耳に罪はない。せっかく可愛いうさぎセットなのに。
 実際のウサギというよりは、記号的なイラストを立体化した、丸みをおびて長い耳。の黒髪にきわだつ白は不思議なことにぴょこぴょこ動いた。
 実はこれ意外にも高機能おもちゃ。装着する者の脳波を感知して動くのだ。うれしいことがあればぴんと立ち、困ればしおれる、表情もゆたか。他の部分に夢中だったのであの時は気づかなかったが、今落ち着いて撫でてみると耳を触られる感覚までわかる。ひっかけばくすぐったささえ感じた。

 うさぎの耳がやがてぴんと立つ。目玉をきょろりと上向きに、の顔はにんまり笑っていた。
 ちょっとしたイタズラを思いついてしまった。





 そっと和室から顔を出してみると、が甲斐甲斐しく働いていた横でこの家の主はだらけきっていた。後ろからではソファの背もたれから頭の先しか見えていない。ということは相当浅く腰掛け、今にも寝そべりそうにしているのだ。
 抜き足差し足、は警戒心のかけらもない銀時にしのびより、背後からえいやと襲いかかった。
 すぽっ!

「ぅおっ?おおっ?なになにっ?うわびっくりした!なんだお前っ?!」
 とっさに振り向いた銀時の頭で、長く白い耳がぴくぴくしていた。小動物が辺りをうかがう時のように。
 が見つけたうさ耳を、銀時につけてやったのだ。
「あははは成功〜!うさ銀ちゃんー」
「なんだこりゃ。なんかごそごそしてると思ったらこんなもん引っ張りだしてたの」

 背もたれにぐでんと腕をかけ、この男ときたらまだくつろいでいる。キュートなアクセントをつけられてしまっても銀時は少しも動じることなく、器用に片耳ずつ曲げて伸ばして、愛想を振ることまでしてくれた。
「ああんかわいい!うさぎさんかわいー!うさぎさんの銀ちゃんかわいいぃぃぃぃぃっ!ねぇこれもこれも!こっちも着けて!全部着けて!」
 真っ赤になって身悶えて、が抱えていた一式を押し付ける。さすがにワンピースは無理があるが、残るうさぎ手とうさぎ足なら。
 呆れながらも笑って言われるままにする銀時。昼間っからどこへも遊びに出ずに、それどころかジャンプも30回は読んで、さすがにヒマを持て余していたのでくだらない遊びにも協力的なのだ。
 どちらも無論女性用だが一応フリーサイズということで、ある程度の伸縮性もある。おかげで銀時の大きな手足でもどうにか身につけることができた。

 頭にはひょっこり長い耳を生やし、手足は大きく白くもこもこ。
 見事うさ銀さんの完成だ。



「ああん!うさ銀ちゃん!どうしよう!うはぁ!もう!どうしようコレ!どうしてくれよう!?」
「………はぁ」
 正直の見幕には銀時も置いてけぼりだったが。こんなおっさんにうさ耳がついたところでいったい何がおもしろいのかと。
「ね。ちゅうしていい?うさちゃんにちゅうしていい?」
「あーおいでおいで。ちょっと待ちな。ほら」
 ん、と銀時が前へ向き直り、ソファへ深く座りなおしてくれた。ひざをぽんぽんと叩かれて、はまっしぐらにその上へ乗っかる。慣れた手つきでを抱えると、やんわり唇を合わせてくれた。

 が、したかったのはそれじゃない。わずかに唇を触れあわせただけで、はいやいやと逃げ出した。
「んんっ、ちがうちがう」
「なによ。ちゅーだろ」
「ちがうったら」

 抱きしめる腕をかきわけ這い出て、はきょろきょろ周囲を見回した。休日だからと気を利かせ、神楽も新八も出かけてくれている。依頼人なら突然扉を開けはしないから、見られてしまう心配はないだろう。
 そこまで考えに入れた上で、は思いきって裾をはだけた。でないと銀時をまたげない。
「お?今日はだいたーん」
「いいの、とくべつ」
 うさちゃんだから。

 は銀時のひざの上へ今度は向き合う格好で座った。ちょうど近くなった目を合わせ微笑むと、銀のくせ毛を引き寄せる。
 それからうさぎの耳のてっぺんに、やさしくやさしく口づけた。


 はずが。
 銀時の反応は予想外だった。



「うおぁわふわおぉぼへぇっっっっ?!」
 激しい震えが銀時を襲った。はずみで突き飛ばされたは、あやうく椅子から転げ落ちるところだった。
「うぉぉぉぉぉっ?うわーびっくりしたっ!なに今のなにっ?えっ?えっ?えっ?!」
「やだもう!銀ちゃんこそどうしたの?」
 驚いたのはこちらのほうだ。
 だが銀時はうさ耳を丸め、頭を抱えてしまっている。着物の中で身体だけを揺すり、いつまでもおさまりの悪い様子だった。

「えっ?えっ?ごめんね?今の耳さわったの、もしかしてなんか気持ち悪かったの?」
「あ、いや…んんん?いや、そういうわけじゃ………たぶん…」
「くすぐったかった?」
「くすぐったいっつーか…」
 むむむむむ?と銀時自身、首をかしげて煮え切らない。どうも自分でも何が起きたのかわかっていなさそうな顔だ。

「くすぐったいのはまァ…くすぐったいっちゃくすぐったいんだけど、腰までぞぞーっと鳥肌たつカンジで、なんつか電気がびりびりーってクるような?でもちょっとクセになりそうっつーか?不思議ともっぺん試してみたいよーな…?」
「気持ちいいってこと?」
「キモチイイ?んんん?これが?キモチイイ?」

 銀時は考え込んでしまったが、それはの知る「気持ちいい」に限りなく近いコトのような気がした。
 くすぐったいに似て非なる感覚。とても似ているのに笑いではなく涙がこぼれそうで、胸の奥はトゲが刺したように痛くて、身体中に電気が流されるような。
 なにより銀時の今言った、それが「クセになる」なんてところが。
銀ちゃんに、耳舐められたりさわられた時って、そんなかんじになっちゃうけど…?」
「マジでか!」

「ウソなに、お前いつもこんなんなってんのっ?!ちょ、もっぺんもっぺん!もっぺんやって!」
 ぐいと突き出された頭にたじろぎつつ、ならばとももう一度。
 今度はそーっと指先で、硬めに綿を詰めたぬいぐるみのような、うさ耳の背に触れてみた。
「うぅぅぅおぉぉぉおふぅぅぅぅ…っ…?」
 硬く食いしばった歯の中で、喉だけかすれて唸っている。大きな身体はうずうずともだえ、随分と過敏な反応だった。


 まさか銀時がうさぎの耳と、こうも同調してしまうとは。そんなに相性がよかったのか。
 頬はほんのり赤く染まり、瞳はとろんと潤んでしまっている。表情はどこか思いつめたように、真剣、なおかつ、困っているような。
 の中で果てる寸前に似ていた。
 もっともにはその表情をあまり見たという自覚がない。銀時がそんな顔をする頃にははもっともっと我を忘れて何もわからなくなっているから。
 だから少なくともの知る限り、銀時はいつでも余裕たっぷりで、が感じれば感じるほどに冷静に愉しげに意地悪くなっていくのに。

 その男が今日はこんなにしおらしい。
 次にもういちどキスをしたは、耳の裏側のふかふかした毛皮にふぅっと息を吹きかけてみた。白い毛の表面がやわらかく波打った。
「うぉぉぉぉぉぉわはぁぁぁ………!」
 そしてまたぞくぞくぶるぶるとうさ耳も銀時も縮こまる。
「だ、だいじょうぶ?」
 こくりとうなずいてみせたきり、銀時はちっちゃくなるばかり。
 しかしながらに触られるのを嫌がっているのかというと…
「今のそれ…」
「もういっかい?」
「…ん」
 自分の身体の反応を自分でも興味深く観察するように、銀時はこわごわうなずいた。

「あっ、ちょい待て!ゆっくり!ゆっくりな?」
「うん…」
 言われた通り唇で触れて、今したようにそっと息を吹く。
 おそるおそるが窺うと、銀時はぎゅっと目を閉じていた。





 いつしかどちらからも声はなく、椅子にぐったりもたれた銀時は上に乗るのなすがまま。
 は夢中で覆いかぶさり、ふわふわのうさ耳にむしゃぶりついていた。もう何分も何十分も。右も左も、根っこから先っぽまで。
 はじめはそっと触れるだけだったのが、湿っぽく粘っこくエスカレートしていく。耳の表面を舐めるのは基本。くぼんだ内側に舌を這わせたり、口に含んでしゃぶってみたり。時々乱暴に握りしめ、銀時が鳴くのも気に入った。
「はぁ…」
 しまいにからも熱い息が漏れた。
 なんだこれ。銀ちゃんが、こんなことで感じてる。
「ちょっ…、おま…そのへんで…やめろって…」
 そうは言うがまるで抵抗しないし、してもさっぱり力が入っていないのだ。
「おっ、お前なぁ!いい加減に…」
 一度はつかみかかられたものの、耳にがじりと歯を立ててやると腰からへなへな崩れ落ちた。


 自分の愛撫に銀時が正直に応えてくれるのが、は楽しくて仕方なかった。それも今までに見たことのない敏感さで。口の中へそのものを含んだ時より、懸命に舌で慰めた時より、うさ耳のきわを舐めることに銀時が竦みあがってくれる。
 どうしてこの男はいつもいつもあんなにクールでいられるのかと、はその自制心をこれまで尊敬していたのだが、もともと銀時の身体というものは、ほど感じていなかったのかも。
 はわくわく目を躍らせた。
 初めての快感に戸惑いおびえる銀時がかわいらしすぎて。


「うぁっ!?たんまたんま、もういい、もういいって…」
 胸に置かれたもこもこうさ手が、ぽむんと突っ張りを押しのけた。
 頭のどこかで、きゅん!という音が本当にした。瞳孔は愛しさで開くこともあるのだ。
 は銀時のほっぺたをはさみ、懸命にそらそうとする顔とむりやり目と目を合わせてやった。
「もうやめちゃう?」
 目だけはどうにか逸らしたものの、銀時はどちらとも答えられない。
とちゅうするの、もうイヤになっちゃった?」
「別に…それはイヤってわけじゃ…」
 逸らした目。そして尖らせた唇。
「ちゅうしていい?」
 うなずいたのでちゅうしてやった。
 うさ耳ではなく、ふっくら厚い唇に。

「……ん、んあ?」
 たっぷり舌をからみあわせ、ねばる唾液をこぼして離れたが、その目はあきらかに不服を訴えていた。
「だって耳はもうさわったらヤなんでしょ?」
「…んなこたァ」
「言ってない?さわってもいいの?」
「………」
 口は固くつぐまれていたものの、代わりに素直なうさ耳がお辞儀をした。「おねがいします」ぴょこ。

「お耳にちゅうしていいですかぁ?」
 くすっと思わず笑いながら、耳の中へはささやいてみた。もちろんヒト耳でなくうさ耳の方へだ。ふうぅと息も吹きかけてみたが毛並みはもはやなびかない。しゃぶりすぎて毛皮はべっとり濡れていた。

 大きく口を開け右耳を含む。時折ひくつく様子を見ながら、良さそうな部分を丹念に責めた。
 そのうちうさ耳以外へ触れても、どこでも感じるようになった。頬を舐めると肌がざわめき、首へ吸いつくと声を漏らす。

 やがて何かをねだるように、うさ手がを抱きしめた。



 熱の塊がに触れている。股間で硬さを主張するモノ。決して薄くはない下着と洋服、全部越しでもわかる膨張がをもっと味わいたそうにしていた。いつもならとうに犯されているはずだ。
「あらあらこれはどういうことですかぎんときくん」
 なるほど、相手が弱っていれば、自分の快感はひとまず置いて余裕を装うことも簡単。ふてくされて答えようとしない悪い子に、お仕置きを考えるのも愉しい。
 うさ耳のふちをはかぷりとした。
「うひっ!や、やめっ!言う言うっ!言うって!きもちよくてちんこ勃ったっ!勃起しましたっ!」
「まあたいへん。どうしてあげましょう?」
 頭ごとかき抱き耳をしゃぶる。でろでろとよだれが糸を引くほど。
「ね、銀ちゃん。にどうしてほしい?」

 だがそれだけは、銀時も意地でも口にしない。着物の上から指をはわし、頂点をかりかりひっかいてやってもだ。
 ぎゅっとを抱き銀時は、快感を必死でやり過ごしていた。
「んもう、銀ちゃんたら強情だよう…」

 も持て余しつつある身体を銀時へしきりとこすりつけた。
「どうしよ…。銀ちゃんの服、濡らしちゃったら、ごめんね…」
 の下着は着物の内へ巻きつけるだけのものだから、そこからしたたる愛液を留めてくれるものはない。
 だがの露が濡らすまでもなく、高く笠を張った銀時の股間はこころなしか先端だけ色が濃かった。触れるとじっとり湿り気を帯びていて、中はさぞかし不快だろう。


 はいったんひざから降りて、足の間に跪いた。もったいつけてゆっくりと。
 窮屈そうに張りつめた服を下着とともに脱がしてやる。履いているうさ足に引っかかり、足首で着物が絡まってだんごになったけれどまあいいか。
 露出した瞬間銀時は、解放されたのを喜ぶようにびくんと跳ねてそそり勃った。
 それを一度だけ軽くしごいて、はそこからすぐ手を離した。

「…んうっ?あ…、ちょ、おい、なに…?」
 うさ耳がぱったんぱったんと、もの言いたそうに髪をはたいた。
「あら、銀ちゃんなにか不満があるの」
「っくしょぅ…おめーはもぉぉぉ…」
「ん。わかった。お耳にちゅうがよかったのね」
「てめ…」
 恨みがましい目が睨む。うさ耳がどれほど敏感といっても、それだけでは射精には至れないらしい。物欲しそうにもどかしそうに銀時の腰は浮き上がり、噛み殺していたよがり声もそのうちこらえきれなくなる。と違ってあえぎ慣れない不器用でへたくそな声だった。
「…は、ぁ…、はっ…、なぁ…、おい、ちょっ…、あぁっ…」
「銀ちゃん好き」
 股間へささやくの声のほうがむしろなまめかしいくらい。そしていまやその声と吐く息にすら肉棒は反応して猛った。
「好きよ、だぁい好き。銀ちゃん、大好き」
「あぁ…、もぉ…うぅぅぅ…っ」
「ちゅーしてあげるね」
 ぴたりと唇を寄せる。といってもほんの一瞬だけ。


 眉間には険しいシワが刻まれ、銀時は目を閉じ、深くうなだれた。にはどうしてもその表情を見せたくないらしい。
「頼む…から、舐めるか、挿れるか…たのむから、どっちか…っ!」
 顔を伏せていても羞恥に染まる肌はよくわかった。かすれた声のおねだりに、の中からも濃い蜜が湧いた。

 でもまだだ。
 はもうひとつ残っていた白い毛玉のおもちゃをとった。
 ちりんちりんと鈴の音が鳴る。のこぶしほどの真ん丸は、うさぎ衣装のしっぽの部分。
「い…っ?」
「これもつけて。全部うさぎさんになってくれたらが最後までしてあげる」
 「にっこり」と言うには邪気の濃い笑み。
 うさ耳がびょんと天を衝いた。
 女の子のような銀時の赤面なんてなかなか見れるもんじゃない。は大事に目に焼き付けた。

 そのしっぽには細く短いゴム製の棒がついていて、それを挿入して身体から「生やす」という寸法。棒の部分はすなわちアナル用おもちゃ。
 自分のお道具に比べれば大きさも形もずっと大人しいのに、銀時の目は釘付けだ。
「どうする?銀ちゃんしっぽつける?」
 つけないのならこのままだと匂わせ、が裏筋をひっかいた。
「うひっ?!」


 硬直しきってびんびんに天を向いていたうさ耳は、長くためらいにためらった末、
 ついに折れた。
 がくり。
「自分でつける?」
「んなモン、できるわけ…」
「じゃあが、銀ちゃんに、かわいいかわいいしっぽつけてあげるね」

 しっぽの持ち手でもある棒が、銀時の口元へ突き出された。
「舐めて濡らさないと痛いと思うの」
 うさ耳がまたしても硬直した。
「へーきよ。に挿れたあと、きれーに洗ってからしまったもの」
「………っ!」
 うめくばかりの銀時が、は愛しくて愛しくてならない。
 じりじりと決して無理強いはせず、鼻先でゆらゆらしっぽを揺らす。さあどうすんのどうすんの。

 やがて屈服した銀時がわずかに薄く口を開くと、待ちかねたようにおもちゃをねじこんだ。
「はーい。たっぷり濡らしてね。そう、じょーず…」
 粘膜をこそげとるように、口の中をすみずみまでかきまぜてやった。抜いたおもちゃの濡れようがそれだけでは心許ない気がして、自分もくちゅくちゅ口に溜めてから、粘り気の濃いよだれを垂らした。
「お尻あげて」
 もはや銀時はの言うなり。両脚を立て尻を浮かせる屈辱的な格好もすぐやった。



 ちりりーん。
「んぐ…っ」
「やん、かわいい!」
 ソファにうずくまった銀時を、が感激して誉めそやす。
 ちりりーんちりりーん。しっぽが隠れてしまわないよう、着物は腰までまくりあげてある。突き出された尻の真ん中で白い毛玉が揺れていた。
 中の筋肉が締めつけるたび、しっぽがひくひく角度を変える。そのたびちりりーんと愛らしく鈴が鳴る。くわえこんだ器具に中からも刺激され、前も反りかえって破裂しそうだ。

っ…、早く、なぁ、っ…たの…あぁっ、なぁ、頼むからっ…!」
 うさぎ手が懸命に引き寄せるのに、はもう逆らわず従ってやった。
 横たわる銀時の上へかぶさり、硬く屹立するものを、またいで迷わず腰を沈めた。
 しかしとっさに眉をしかめる。思っていたよりきつくて苦しい。
「…っ、はぁっ…!ああっ、っ、はっ…!」
 でもその下では銀時があられもない声でよがっているのだ。

「あぁっ、もう、もう出すからっ、出すからなっ?」
「ん…、もう出ちゃう?中きもちいい?いいよ、銀ちゃんの、好きなよーにして…」
 がくがくしがみついてくる身体を、許可の意味をこめ抱きしめてやった。それに安堵した銀時が心おきなく腰を突きはじめ、しっぽの鈴も聞こえないほどソファが激しくきしみをたてた。
 帯を引き裂きそうにしながら、を抱きしめたうさぎ手が、がむしゃらに背中をまさぐり続ける。

 それから一、二度突き上げただけで、銀時はの中へ放った。









 張りを失った男性器があっけなくから抜け出ていった。
 勢いに圧倒された気分で、がぽかんと見下ろすと、銀時ははぁはぁ今も息を荒く、弱々しくしがみついてくる。
 その手の幼さに息が詰まった。泣きべそかいて甘えてるみたい。
「よしよし、いいこいいこ。銀ちゃんかわいい」
「銀さん傷ついた…めっさ汚された…」
「そんなことないよう、可愛かったよおぉ?」
 上機嫌で顔にキスしていると、ふとした拍子に銀時の頭からぼとりとうさ耳が落ちた。



「あ、それ…」
 ところが拾おうとしたものの、の手はすぐそこの床へも届かせることができなかった。
 いまだもこもこする銀時のうさ手に、しかしそれまでとは色合いの違う強さで、しっかりと抱きすくめられていたのだ。
「…あれ…れ?え?あれ?」
「もーダメ。ケツの穴までもてあそばれて銀さんこのままじゃ銀子ちゃんになるしか」
「えぇっと…その…あは…あははははは………」
 ぐすぐず哀れっぽくしながら、それでいて図太くドスのきいた声に、なにやら不穏なものを感じた。乾いた笑いで誤魔化してみても、どうにかできる気がしない。
 ここは即断即決で態度を変えるヘタレ娘だった。
「すみませんでしたぁぁぁっ!!」


「いいや。男として銀さんはもうオシマイです」
「…あの、いや、ほんと、あの、ごめんなさい…あの…どうすれば…」
「もうムリ。とりかえしはつきません」
「そんなこと言わずに、ねぇ?銀ちゃんさぁ?」


 それまでの儚げな表情はいつのまにやらどこかへ消え去り、いつものふてぶてしい銀時が、ニッと歯を剥きうそぶいた。
がさっきの銀さんの百倍は恥ずかしーとこ見せてくれねーと」
「……………はい?」
「よくも銀さんで好き放題に遊んでくれやがりましたねぇぇ〜?」
「………」
 ちりりーん。


 こわばった笑顔でが静止する。
 うさしっぽだけは今も変わらず涼しい音を奏でていたが、恐怖で膜のかかった耳にはいっさい届くことはなかった。











リクエストありがとうございました!
S様から「いつぞやのウサギコスプレの逆バージョン」でした。
銀さんのしっぽもリクエストにふくまれておりました…よね?ね?