※こちらのお話の続きになります
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 街のネオンがぽつぽつと灯りはじめる夕暮れ時。銀さんは逸る足を抑え、つとめてだらだら寄り道までしながらの住む部屋を訪ねていった。
 「万事屋銀ちゃん」からもすぐ近く、地味な小路で商うだんご屋もそろそろ店じまいした頃だ。
「よーう久しぶり〜」
 がたつく木戸を横へ引き、しかし銀さんは怪訝な顔をした。
 が見えな…
「うぉおおおっっ?!」
 と思うまもなく扉の横の死角から、丸っこいけだものが飛びついてきた。
「きゃああっ!銀ちゃん!ひさしぶり!ひさしぶり!会いたかったぁぁぁ!」

「うぐっ…お、おま…ちょ…」
 もちろんけだものの正体は。銀さんの首ったまにぶらさがり、裸足のままの足をばたつかせる。しがみつく時わき腹へ思いっきりひじをくらわしてくれて、危うく銀さんが逆流しそうになっているのもおかまいなし。
 やっと爪先を土間へ着けると、はきらきら光る目で見上げた。
「だってだって、さびしかったの!銀ちゃんひさしぶり!ひさしぶり!」
「そこまで言うほどのことか?」
 さすがに銀さんも苦笑してしまう。大勢の客をまじえてではあるが、何度か食事だってしていたのに。
「そんなの一緒のうちにはいんないもん。ああいうときの銀ちゃん別人だもん。つんとしてるしに冷たいしっ」
「ふん、大の男が人前ででれでれ鼻の下伸ばせますかっつの」
 ぶーと尖らせたのくちびるを銀さんは煙たそうにつまんだ。
「うぶぶっ?!」

 の不満もわからなくはない。空気を読まない知り合い達に連日どんちゃん騒ぎをやらかされ、ここ一週間ほど銀さんはこの部屋へ来る間もなかったのだ。
 も生来の働き癖で、万事屋へ顔を出したはいいがついついもてなす側に回ってゆっくり座ることもしなかった。酒だつまみだ騒ぐ客の為に台所と部屋を行ったりきたり。
 確かに少し慌ただしすぎて銀さんも会った気がしなかった。
「ま、みんなもこれでが銀ちゃんのお嫁さんだって思い知っただろーけどね。ふふふ…」
「怖い怖いその顔。悪魔の微笑やめろ」


 ほんの数分も我慢ができずにはまたもや抱きついてきた。銀さんも特に逆らうことなくやりたいようにさせてやる。後ろ手に勝手口だけ閉めて、ぐいぐい押し寄せるの頭へ自分は顔をうずめてみたりした。
 するとほんのり湿り気と、花の香りに鼻をくすぐられる。
「あれ。お前もう風呂行ってきたの?」
「え?ああ、うん。そう。ちょっとだけ早くお店終わって、もう買い物もしてきたよ」
「そーだな。明日早ぇもんな」
「うん。そう。早いの」

 そのうちの手がすりすりと銀さんの背をまさぐりだした。片袖抜いた着物の脇から指をしのばせ思わせぶりに。
 胸板へ埋めた鼻面は、ふんふんすんすん聞こえよがしに銀さんの匂いを嗅ごうとする。
 その心はわかっているくせに、銀さんはのアピールに全く気づかないふりをした。
「わかったわかった。も〜、ちょっと離れろって。明日着るモンとか揃えてあんの?朝になって紐が足りねぇとかヤだよ?」


 実は明朝、ははるばる田舎へ帰ることになっていた。予定の列車はほとんど始発、しかも振袖を着て行くとあって明日は暗いうちに起きる予定だ。さっさと夕飯も終わらせて、休ませなくてはならないのに。

 それなのにがどうしても銀さんから離れようとしない。
 わかっていながらされるがままの銀さんも銀さんだ。むしろにやにややにさがり、すがりつくを嬉しそうにしている。ぽよんぽよんとはずむ胸が押し付けられるのを堪能したり。
 うるっと潤んだ大きな瞳で懸命に見上げられたらもう。
「銀ちゃんはさびしくなかったの?」
「な〜にバカなこと言ってんの」
 素っ気なくあしらっているつもりで、声は完全に笑っている。が気づいていないのが何よりだ。
 もちろん銀さんもが恋しくて、今朝からこの時を心待ちにしていたとも。それを正直に告白するほど善人でないというだけで。

「やだあ離れない〜、もっと抱っこ!」
「へぇへぇ」
 の望みをきくと見せかけ、息が止まるほど抱きしめてやる。
 ぷっくりつややかな唇にそっと唇を重ねてやれば、はたちまちかぶりつくように銀さんに舌を差し入れた。拙く中を舐めまわされるその感触には腰から震えたが、顔に出さないのは年の功というやつだ。張り合いのない反応にだけが気持ちを高ぶらせていく。
 それも銀さんの目論見どおり。

 なにせ銀さんはすっかり枯れたおっさんなので、少々色気で迫られようが我を忘れる心配はない。寝不足で田舎へ返すのはあまりにも可哀想だと思って、万が一にも手を出さないよう抜いてこようとしたのだが、どんなに独りで頑張ってみてもうんともすんともこなかったのだ。
 ある意味残念なことではあるが、おかげでが発情する様をひとごとのように楽しめる。
 銀さんはわざとの腰を抱き、下腹部同士をすり合わせてやった。
「…っ」
 息を飲むの目を見つめて言う。
「ひひ。なに。どしたの」
「う…、銀ちゃん、銀ちゃんは…?」
「なにが?」
「銀ちゃんは、これ…へーきなの?」
 目のふちを赤く染め上げて、泣きそうな顔が愛おしすぎた。
のこともうきらい?もう飽きちゃった?」
「ばーか。そんなんじゃねーよ」
 そうじゃなくて。

 銀さんはもうイイ大人だから、そうそうおっ勃たたないのです。
 と。
 ふざけ半分言おうとした時だった。
「………………あり?」



 がたちまち目を輝かせた。
「いやいや君。それは少々慎みに欠けるのではないかね」
「?」
 けれどもあどけない顔が期待に頬を染めている様は「えろかわいい」と言うのがぴったり。視覚と直結しているのかと腹立たしくなる正直さで、さらにむくりと血が溜まる。

 銀さんの股間にはくっきりと硬い塊が生まれていた。

「…え?いやいやいやいや…」
 あれぇぇぇぇぇ?!
 枯れた大人の余裕などわずか一瞬で吹き飛んでいた。「自分」にむなしく訴える。昼間ちっとも勃たなかったじゃん!大好物のDVDにも銀さんの銀さんぴくりともこなかったじゃん!
 あれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!!

 腰を引こうとはしたのだが、できなかった。できるわけもなかった。それどころか自らの下腹へ服越しの勃起をなすりつけている。
「んもう、やだ、銀ちゃんたら」
「いやいや違う違う!あれ?あれ?あれ?」
「んっ、んふ、銀ちゃん、銀ちゃん、ん、んんっ、んむっ…」
 気づけばの唇を激しくむさぼっているのだが何故だ。
「や…っ、だめぇ…もっと…」

 …まあいいか。
 離されまいと身をよじるをお望みどおりに抱きかかえ、もう一度深く口づけてやった。
 こんなにも欲しがっているのなら、手早く済ませて寝かしつけてやろう。







 街並みを照らす光がお日様からネオンサインへ交代する頃。つまり夕方早い今時分、空はしばらくのあいだ暗くなる。もう少しすれば昼間以上に派手な明るさに満ちるのだが。
 大通りからは少し離れたこの部屋でも、窓から差し込む光が減って電気がないと顔も見えにくい。そんな薄灰色の部屋で銀さんはにまたがっていた。

 食事の用意もやりかけでほったらかしのちゃぶ台を、足でぐいぐい隅へ追いやる。床にゆとりのできたところで心置きなく手足を伸ばした。
 重みをほとんど支えることなく、銀さんの体重がにのしかかる。が、は少しも嫌がらない。それどころかうっとり目を細めた。押しつぶされてしまうほど重くされるのがは好きだ。息もできないほど苦しくされるのも。

 物欲しそうにしている顔を頭ごと抱いてキスをする。唇だけでは足りずに顔中。ちゅっちゅとあちこち吸い付いた。耳ごと口へ含んだ時にはがぞくぞく悦んでいた。
 ぴくんと足が跳ねたのを合図に着物のすそをめくりあげる。あらわになったむっちり太ももにひざをぐりぐりと割り込ませてやった。
「ん…、んん、んー…」
 が鼻の奥をくんくん鳴らし、甘えてしがみついてくる。腰はずっと浮いて銀さんにこれでもかとこすりつけてくる。必死の様相にうっかり笑って、に恨めしそうにされた。

「はは、悪ぃ悪ぃ」
 ご機嫌をとって頬を撫でた。ぷっくりふくよかなほっぺたは、柔らかくそして手触りしっとり。触れると肌は吸いつくようで、指でつまむより頬ずりしたくなる。
 が銀さんにしたように、ふんふんすんすん匂いも嗅いだ。せっけんの匂いが少し残念だ。仕事を終えた汗と混ざって濃くなったの匂いが好きなのに。
 そしてあごから首へ、胸元へ。舌でぺろぺろ表面をすくうと甘いミルクの味もした。
 触覚と嗅覚、それから味覚。
 ずっと満たされなかった知覚を久々ので満足させた。


 胸の谷間も味わいたいのに、ところが着物が上手く脱がせない。焦っているつもりはないのだが。
「待って、ちょっと待って…するから…」
 身体を起こし、が帯を解く。風呂から帰る時に着替えたのは、寝間着よりは堅い、くだけた普段着。近所なら十分外出できるし、帯もそれなりに結んである。指を何度もすべらせながら、結び目で頭がいっぱいのが銀さんにはとても健気に思えた。
「んっ、ん…、ん、もう」
 苦心の末に着物は落ちて、はさりとあらわになる素肌。今さら気後れしてしまったのか、がさりげなく自分を抱きしめた。
「なに隠してんの」
「あっ、やん、」
 両手を取り上げ押し倒す。左右の手首ははりつけにしてやった。

 薄暗い下でまじまじと、銀さんは白い裸を眺めた。
「おお。ひさしぶり〜」
 ひゅうと口笛を吹きたくなる。
 まだ手付かずの、ただの裸体。じっと横たわるを見ただけで、ふしぎなことに銀さんの頭にかっと血がのぼった。
 肌を見せるのが苦手なも、今日はいつもより抵抗をぐっと抑えているようだ。遠慮なく舐めまわす銀さんの視線も、唇を噛んで耐えている。

 ふと目が合った。きまりわるさと照れの混じった情けない顔だ、ふたりとも。
 けれどバカ正直に白状したのはだけ。
「あのね…、あのね、銀ちゃんわらうかもしれない…」
「うん」
「いつでも、ずーっと一緒にいるのに、ほんのちょっとあいだが空いただけで、、もう、銀ちゃんに、こうしてされたくて…」
 続きはもごもご口の中に消える。「ああ、でも…」「銀ちゃん怒るかも…」
 目で促されてやっと言った。
「みんなどっか行っちゃえーって思ってた…」
「ああ」
 まったく。
 空気を読まない知り合いたちがさんざ居座ってくれたことに。

 銀さんはこっそり感謝していた。
 おかげでこんなはしたなくだらしない、頭のゆるんだを見られて。
 甲斐甲斐しく酒を運びながら、ヤリたくて頭がいっぱいだったなんて。

 唇を唇で食みながら、口移しの近さでささやいた。
「こっそり言やぁよかったのに」
 ちゅるっと下唇を舐めてやる。
「いつでもこうしてやったのに」
「でも…」
「連中がつぶれて寝てた時でも、便所か風呂でささーっと…」
「ばっ、ばかっっ…」
 言わせず口をふさぐ。ちゅううううう。

「ん、んむ、はぁ…、はむっ、んっ…」
 こくりとの喉が動いた。よだれを飲ませて朦朧とさせたところで手を下へ。茂みをさらりと軽くなでてから、そのずっと奥へ指を這わせる。もう問題なく首尾は整って、潜らせた指はびしょびしょに濡れた。
 開かせた足の間へ陣取り、銀さんが下穿きをずり下ろす。
「やっ、待って待って。えっ?えっ?もう…?」
「明日早ぇんだよ?さっさと済ませて早寝しねーと」
「うぅぅ…さっさととか、そんな言い方って…」
「そりゃー銀さんだってもっとのあそこぺろぺろしてやりてえんだけどぉ〜」
「わぁぁぁっ!いい!いいのっ!そんなこと言わなくていいのっ!」
 火が出そうなほど赤くなりながら、「しなくていい」とは言わないのだ。


 銀さんはしっかり気付いていた。伏し目がちにこちらをうかがうに。視線は元気に反りかえる銀さんのモノへ釘付けだった。渇いたように半開きの口から桃色の舌が見える。
 じりじりと腰が身じろぎしていた。にじみ出た汗で内ももは蒸れて、それ以上に奥は潤っていた。
「うん…。じゃあ…早く…」
「いいの?」
「だって銀ちゃんが…」
「いいや〜?べつに〜?銀さんこのまま寝てもいいけどぉ?」
「むーっ!いじわる!」
 両手で胸を叩かれむせた。
「げほっ!お、お前無茶すんじゃないよ!」




 初めにぴたりと抱き合った。の身体へかぶさるように。
 口づけ、舌がからみあうように、ふたつの身体ももつれあう。
 頭の先が入り口を探り当て、ずぶりとを貫いた。
「………んふぅっ…!」
 歓喜にが震えあがった。くんっ、とそれだけで大きくのけぞり、足の指先まで硬直した。銀さんは逆に蕩けてふにゃふにゃ。ぬかるみながらそれでいて、ちぎりそうな強さで締めつけてくるがあんまり気持ち良くて。
 規則正しく腰が動くのは身体が勝手にしていることだ。
「んっ、んんっ、んっ、んっ、銀ちゃん、銀ちゃんっ…」
「はは…っ、いいね、おめーの顔、すげーよさそう…」
 汗でひとふさ貼りついた髪を人差し指ですくってやった。堅く閉じていた目がうっすら開く。快感に霞む瞳を見たら銀さんのほうがどうにかなりそうだ。突き当たりまで挿入したまま、さらにその奥を突いてやった。
「気持ちいい?」
 がむしゃらに首を振るばかりの
「けど、早く済ませて寝ねぇと、な?」
 黒髪がばさばさ振り乱される。
「明日早ぇんだろ」
 こくこく。ぱさぱさ。
 どうせ聞こえていないのは知ってる。声と振動がイイらしくて、耳元でささやけば何を言ってもこうなる。


 もうひとつ銀さんは見逃さなかった。が懸命に深呼吸して、荒くなる息を鎮めているのを。身体も銀さんにわからないよう、微妙に引いて離そうとしている。
 ぴんときた。
「引き伸ばそうとしてんだろ」
 どっきーん!と飛び出した心臓が銀さんの胸にぶつかるようだった。

「いじきたねぇのな」
 にたり意地悪く笑ってやるとはひときわ大きく震えて、同時に中が搾られた。
「おおっ?!」
 面白そうに顔を輝かせてぐいぐい腰を送り込む。身体の下でが暴れた。
「やっ、やんっ!やだやだっ、ダメ、それっ、いっちゃう、いっちゃうったらっ」
「イケばいいじゃん」
「やだ、やだ、まだ、やぁん」
 まだまだ早い時間を気にしてのあえぐ声は低く小さい。抑えに抑えてささやくような珍しい声が銀さんを煽った。
「ああんっ!ばかっ、ばかばかっ、ああっ!」
「はァ〜?誰がバカって?そういう悪い子はァ…」
 肩を押さえて逃げ場を奪い、の好きな場所をねちこく抉る。
「あああああんっ!やっ!だめっ!んんんっ!!」

 ぎゅっとまぶたが閉じられた。我を忘れて銀さんにしがみつき、ひきつる指が背に爪を立てる。らせん階段を駆けのぼるような、おかしな調子で声がうわずった。
「もぉっ、もぉっ、ばか、ばかあっ、ひ……………んっ!」
 くるりと裏返る声、それに身体。
 銀さんの腕に捕まりながら、大きく小さくは跳ねた。




 しばらくの間耳元には荒い吐息しか聞こえない。はぁはぁと肩を上下させ、が痛いほど抱きついてくる。拗ねて怒った意思表示のようだ。
 銀さんも息を整えながら、よしよしと撫でてなだめてやった。
「だってお前明日早ぇんだよ?まだメシも食わなきゃなんねーのに」
 不本意そうにがうなずくのが肩口にぶつかるあごでわかった。

 さあこれでの気も済んだろうし、食事のあとは清らかに眠るだけだ。銀さんのものは入ったままだが、余韻を楽しむくらい許されるだろう。
 抱き合ったまま、繋がったまま、の肌触りと全身ですがりつかれる心地良さを、銀さんはまったり噛みしめていた。
 ずーっと。
 それからもずーっと。ずーっと…。

「…あの…、銀ちゃん…?」
「お、おう。さあ起きてメシ食おうか」
 しかしまだ姿勢はそのまんま。それにしてもひさしぶり…なんて思いつつ。
「銀ちゃん…」
「あ?ああ、うん、そーな」

 なにげなく腰を動かしてみるとがわかりやすく甘い声を出した。
「んっ、もう…っ、いたずら、やめてよう…」
 口ほど嫌がってはないようなのでもう一度地味に腰を使った。が手足を強ばらせている。せっかくあきらめのついた身体が銀さんの心無い刺激にふたたびかき立てられてしまう。
 ゆっくりゆっくり、銀さんは何度かを突いてみた。身体を少しだけ起こし、の反応を上から眺めた。
「イヤではねぇの?」
「あ、あたりまえでしょ…」
「きもちい?」
「うん…きもちいい…」
「もーちょっとしてやろうか」
「………」
「なんだその『間』は」


 なしくずしに「次」は始まっていた。
「ま、もうちょっとだけな?明日早ぇし。な?」
 うんうんと首を振るには、既にスイッチが入っている。ぬるんと抜けば悲しそうに鳴いた。
「違う違う、そーじゃねえ、心配すんな」
 裏返して頭を伏せさせる。高く突き出させた尻を抱え、今度は後ろから挿入した。
「くふんっ…」
「へへ、締まる締まる、すげー締まってんだけど?」
 は両手で頭を抱えて何も返事をしようとしない。
「なにもーしょーがねーなーもー」
 ぺったんぺったん尻をぶつ音と、ちゅぷちゅぷ水音が不規則に混じった。じきに暑くなった銀さんは着物と上着を脱いで捨て、しまいに下着も足から抜いた。
 と一緒の裸になって肌と肌とをぴったり添わせる。腰をつかんで振るよりも、こうして密着したところから細かく動くのが銀さんは好きだ。
「は…ぁ、あ、ああっ、ん…、ん…、それ…、銀ちゃん…、もっと…」
「ん〜?まだ足りねぇ?わがままちゃんでちゅねぇ?」
 畳に擦れて膝が痛くなると銀さんはまた姿勢を変えた。仰向けに寝そべる自分の上にを引き寄せ跨らせる。目は銀さんと合わせたままで、器用なことにそれを見もせず、は深々と身体を沈めた。


 ふわぁぁぁ…と長い息をつき、よろこぶ顔を見せつけながら、次はが好きに腰を振る番だ。
 いつのまにやら銀さんも明日の話はしなくなっていた。





枯れたはず彼氏